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1月18日 悪夢とドラゴン

 インフルエンザにより投稿が遅れました。

1月18日


 嫌な夢を見た。【検閲済み】班に実験される夢だ。


 気付いたら、私は例の炉の中に閉じ込められていた。煤けたガラスの四角い小さな窓の向こうに、満面の笑みを浮かべた水瀬がいる。『ちょっとこんがり焼いちゃうよぉ~?』と、あいつはスイッチを入れよう……と見せかけて止めるという、なんとも悪趣味な悪戯をし始めた。


 『出してくれよ!』って叫ぶも、『そう言われると出したくなくなっちゃうよね!』と返され、とうとうこんがり焼かれる羽目になった。


 最初はチリチリと髪が燃えた。次に、指の先から白い骨が露出する。肌は真っ黒に焦げ、高温により蒸発したのか目玉がしぼみ、饐えた臭いのする黄色っぽい液体が穴と言う穴から漏れ出ては消えていく。


 幸いなことに、物理的な影響は特になし。夢の中だからか、暑さ寒さに関しては苦痛としてのイメージがわかないらしい。


 しかし、今度は羽鳥が私をつかんで引っ張り試験機に取り付けた。『──はちゃんとチャックしてやんないとすぐ拗ねちゃうからな』とかいって、私の頭をギリギリと締め付けてくる。脚もがっちり固定され、とうとうそのスイッチが入れられた。


 だんだんと引っ張られていくあの感覚を、おそらく忘れることはないだろう。伸びきった関節が限界に達した時のこつん、と言う音と、それでなお引っ張られて靭帯が断裂した際の思いのほか大きな音が、よく耳に残っている。


 悲鳴は上げなかった。声を上げようと肺を膨らませる分、全身が引っ張られて余計に痛む。最終的にはもう膨らませる余裕がないほど引っ張られて、上げようにもあげられなかったけど。


 結局、胴体にくびれ(どっちの意味かは分からない)ができたところで試験機から外された。『またデータ取り直しだよぉ~!』って羽鳥が嘆いたとき、マジでブチキレそうになったね。


 しかし、それだけじゃ終わらない。気付けば、山岸、井浦、青松らに囲まれ、落錘試験機のところに横たわっていた。


 『底面固定しないと……』と私の手足にボルトを打ち込む山岸。『クソ面倒くさい』って言いながらひずみゲージとはんだごてを私の腹に押し付けてくる井浦。青松が『──さん動いちゃダメだからね』って言いながら私の頭部を試験機にセットし(稲垣が錘を持ち上げていた)、真島さんが『私持てないから稲垣くんやって』って測定器の前にスタンバイ。


 面前に迫る鈍色の円。そして、錘が落ちてきた。


 全身をボルトで固定されている故、避けられるはずもない。頭蓋が陥没し、破片となったそれが散らばった。少しの緑が混じったグレーの何かがびちゃびちゃと頬を濡らした。


 痛かった。マジで痛かった。明らかな致命傷なのに、死にきれず意識があるのが何よりもつらかった。


 『なんかゼロがいっぱいある……データ取るの失敗したみたい』、『じゃあもう一回やるしかないでしょ!』と、真島さんと青松がしゃべっているのをぼんやりと聞く。二発目が落ちてきた。頭蓋の破片が辛うじて残っていた目玉を貫き、口蓋から突き出るのを感じる。鼻の感覚はもうなかった。


 ここで目覚める。正確にいえば、死ねば解放されるってのを感覚的に理解していたから、持ってたナイフで自分の喉笛……というか首の付け根あたりを掻き切ったんだよね。毎回目覚めるときは死ぬ時だったし、今回も成功したのは僥倖。今度から悪夢を見たら死ぬことにする。


 ただ、自分で掻き切るのも結構痛かった。ぐにゃぐにゃした手応えも気分悪い。動脈か何かだったのだろうか? あと鎖骨って意外と丈夫なのね。


 さて、ここからは普通に書いていこう。


 クソ寒いと思ったら首都圏に大雪が。多いところで10 cmもの積雪。朝の段階で雨に変わりつつあったとはいえ、風も強くて嫌になる。


 そんなわけで、天候が落ち着くまで様子を見てから学校に行くことに。なんだかんだで家を出たのが1000ごろ。途中の水たまりでこっちに冷水をぶっかけてきたあの運送トラックを私は絶対に忘れない。


 当然のごとく交通機関もかなり乱れており、ダイヤが乱れるのはもちろん、運休や間引き運転が頻発している。【検閲済み】線に至ってはまさかの五十分遅れ。それでなお学校に行こうとした私を誰かほめてほしい。


 奇跡的に【検閲済み】でバスが定刻通りに来たからよかったものの(それでも二時間に三本しか来ない)、もしあれが無かったらもっとひどい目に合っていただろう。


 学校に到着したのは1230ごろ。案の定、来ているのはほんのわずかしかいない。院生とM0のほかは銀さんや八柳くらいしかいなかったはず。


 なお、ブラック柳下はこの雪だというのに仮配生を呼び出してなんかいろいろやっていた。本当にあいつはブラックだと思う。


 さて、今日来たのはほかでもない衣笠先生に概要集を提出するためだったんだけど、その衣笠先生が来ない。故にやることない。


 しょうがないのでとりあえず時間をつぶしていたら、羽鳥が折り紙に興味を示しだした。おもむろに裏紙を取り出し、正方形に加工して折り始める始末。


 が、『俺ドラゴン折っちゃうし』とか言っていた割には案の定途中で飽きて投げ出した。あいつホントやんちゃだと思う。


 せっかくなのでそれを引き継ぎ、ドラゴンを折ってみることに。羽鳥が参照していたサイトを見てみるも、説明が致命的にヘタクソすぎて何が何だかわからない。なぜあれだけのことをああも意味不明に解説できるのか。後で読み直して恥ずかしくならなかったのだろうか。


 なんだかんだでドラゴンを完成させること自体はできた。が、見本に比べていくらか胴長になる。まあ、そもそもの紙の質もよくなかったし、上出来の部類ではあるだろう。


 夕方ごろ、八柳が数式パズルを出してきた。華麗に解いたら報酬としてココアをもらった。なんか得した気分。ちょうラッキー。


 短いがこんなもんだろう。正直ここ数日の概要集への挑戦&睡眠不足&夢見の悪さのせいで気力がない。さっさと通ればいいのに。畜生が。

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