12月14日 オレオ沢田×行方不明×ショートケーキ味
12月14日
泊り明けに書いているため、いくらかおおざっぱなところがあるかもしれないが、そこは勘弁してほしい。
研究室に到着したのはやっぱりいつもと同じくらい。どうやら日曜日に泊まったらしく、銀さんがカーペットルームの方でスヤスヤしている。遅刻しないための策のようだ。本当にお疲れ様です。
さて、なんか今日は珍しく山岸が早い……と思ったら、やる気が出ないらしく研究室の掃除をし始めた。意外なことに手早くパパッとそこらを片づける。『やる気が出ないときは掃除をするに限る』って言ってた。あいつが掃除をするのを見るのは初めてかもしれない。
そうそう、恐ろしいことに持ってきておいた日記の一冊が行方不明になっていた。学部生に見られるのはともかく、先生方、特にこもりんに見られるといろいろな意味で終わってしまう。あの時のあの焦燥感をどう言葉で表現すればいいのか、今の私には思いつかない。
福山や柳下に聞いてみるも、『読んだけど戻しておいた』とのこと。となると、誰かが持ち去った可能性が高い。念のため院生室やカーペットルームを探すも見つからず、途方に暮れる。
が、諦めかけたその時、いつのまにやら机の上に戻っているのを発見。『あ、俺持って帰ってた』と八柳。寿命が縮まるかと思った。
なお、『けっこうおもしろかった!』って八柳にも日記は好評だった。そのうち後期の分の記録もPDFファイルで送ってやろうと思う。世良さんにも好評で、お弁当を食べながら(食べるのも忘れつつ)読み耽ってくれていた。
まさかここまで受けるとは驚きを隠せない。あの冷酷無比なブラック柳下でさえ、日記のエピグラフを見て腹を抱えて笑っていた。今度あいつからエピグラフの募集をしてみようと思うけど、何かいい名言を知っているだろうか。
さて、午前中は前回に続き中間発表や学会のための資料の作成に入る。学会クソテンプレのタイトルの行間が凄まじく大きかったので修正しておいてやった。手間を取らせないためにあるはずのテンプレなのに、どうしてこうもこちらの手間を取らせてくるのか、本当に理解できない。
その後は逆解析なんかもゴリゴリと進めていく。例の【検閲済み】の分布の収束点に対し、理論値がぶっ飛んでいたけど気にしない。どのみち一致するはずもないので、何も見なかったことにして収束点の値だけを素直に使うことにした。
なお、表面形状が粗いものは誤差が聊か大きいきらいがあった。中くらいのものはけっこういい感じ。どう考察するかで結構骨が折れそう。何とかなると信じるほかない。
おやつの時間頃、事件が発生。今日は変則的に是枝さんのゼミだったんだけど、開始時刻になっても是枝さんの姿が見えない。ラインを送っても既読がつかず、電話をしてもつながらない。先生が直接自宅にかけても留守番電話。
音信不通の行方不明とはまさにあのこと。最悪の事態すら推測され、あわててみんなでなんとか消息をたどろうと動くことに。まさかすでに教室に行ってるのかしらん、と麻生さん、播磨さんと共に向かうも、人っ子一人いなかった。
これもう本格的にヤバいやつじゃないか……と思っていたところで衣笠先生から連絡が。『すみません、是枝くんのメール、迷惑メールフォルダに入っていました……』とのこと。無題だったからそっちに割り振られ、気づかなかったそうな。
ちなみに内容は『体調不良のため欠席します』というものだったらしい。なんにせよ無事でよかった。
そうそう、あんまり関係ないけど、麻生さんがおやつの時間過ぎに『このポテチ食べていいよ!』と学部生室にポテチを持ってきてくれた。ひゃっほう。
しかも、『何味だか当ててみて!』といやに挑戦的な笑みを浮かべている。どうやらちょっと珍しいタイプのフレーバーらしく、その驚きをみんなで分かち合いたい様であった。
で、さっそく食べてみる。ポテチにあるまじき濃い甘さ。昔なんかのおやつで食べた……赤いパッケージが印象深い【キャラメルコーン】のいちごミルク味を彷彿とさせるもの。懐かしい感じがするけれど、具体的にどこでそれを体験したのか、それを思い出せないようななんとも不思議な感じ。
甘い香りの後には普通のポテチらしいジャガイモの風味が戻ってくる。一口目と食べ終わる頃とでは全く違う表情を見せる、そんな二面性のあるポテチだった。
『いちごミルク味ですか?』と聞いたところ、『ショートケーキ味だよ!』とのこと。ちょっと惜しい。どのへんにケーキ要素があったのか、ぜひとも販売会社に聞いてみたいものだ。
まだやることがあるし、ここまでにしておこう。最後になるけど、日記メモに誰かが『オレオ沢田』と書き込んでいた。いったい誰が何の目的で書き込んだのか、そしてオレオ沢田とは何者なのか、謎は深まるばかりである。