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12月3日 【検閲済み】研流行語大賞

12月3日


 昨日の夜、またトイレに閉じ込められた。外側のドアノブが動くからって油断した。まさか内側は動かないとは。しかも親も出払っていたし。夏場だったら死ぬ一歩手前までいってただろう。


 研究室への到着はいつもと同じくらい。今日は特に面白いこともなく、珍しいものも見なかった。しいて言えば朝起きるときめちゃくちゃ寒かったことくらいだろうか。


 銀さんが来ないため、午前中は資料とにらめっこ&日記の編纂をすることに。やっぱり特筆することはない。四月の研究風景を懐かしく感じたくらい。なんだかんだであのころは結構まじめにやっていたと思う。あと、人が全然いなかった。


 銀さんが来たため、午後は実験の検討をすることに。今はひずみゲージで【検閲済み】しているわけだけど、明らかに【検閲済み】に差があるそうで、25 Nmを超えてなお3 kNすら締められないこともあるのだとか。


 さすがにそれはおかしいってことで衣笠先生に相談しに行く。なんか今日も妙に苛々しているらしく、いつもの温和な感じがしない。が、『理論トルクと照らし合わせて確認してみて。もしかしたらひずみゲージが傾いたりしているかも』とのアドヴァイスをもらった。


 早速、こちらは理論式の導出、銀さんは実際の試験片について検討してみることに。なんとも不覚なことに、こないだの理論式が間違っているのを発見。


 しかし、それにしたって値が合わない。衣笠先生の論文やその他の資料による文献値では3 kNの締付トルクはおおよそ5 Nm前後。間違っても25 Nmなんて行くはずがない。


 どうしたものかと悩んでいたら、銀さんが『わかっちゃったかも……』とスペーサーを片手にやってきた。


 今回使っている【検閲済み】とスペーサーの径ではスペーサーの方が大きい(スペーサー上面端部に【検閲済み】は届いていない)から、かけた力は中心部ほど強く、中心から離れるほど弱くなる。


 つまり、【検閲済み】がスペーサーに沈み込む形になり、ひずみゲージが貼り付けられたスペーサー表面は十分にひずんでいないのでは、そのせいでひずみの応答性が悪くなっているのではないかということだった。


 言われてみれば結構あり得る。以前は直接ボ【検閲済み】に貼付していただけに、その可能性をまるで考え付かなかった。これならめっちゃ締付トルクを与えてもひずみが上昇しない理由が説明できる。


 とりあえず、スペーサーと【検閲済み】にスペーサーと同直径の座金をかませることで、スペーサー面の全体に力がかかるようにしてみた。実際にやった感触はなかなか良好のようで、『今までよりかはいい感じ』と銀さん。


 しかし、ここでまたもやひずみゲージが千切れる。どうしてこうも思い通りにいかないのか。神は何かウチの班に恨みでもあるのだろうか?


 結局、その日はひずみゲージを貼りなおす作業で終了。今度こそ最後までつながったままでいてほしいものだ。


 おやつの時間頃、学部生室にいたメンツで【検閲済み】研流行語大賞について盛り上がる。ノミネートされたのは『社会じゃ通用せえへんよ』、『そこのところどう思っとる?』(及びその派生)、『一日何時間あると思っとる?』、『と、いいますと?』などなど。


 その大半がこもりんの言葉だけど、ある意味では当然なのだろう。他にもいっぱい出たから、気になったら適当に話題に挙げてみること。きっと話の花も咲くはずだ。


 ざっくりしているしまとまりがないが、今日はこの辺にしておこう。さりげなくもうみんな帰ったし、一人でこれを書いている。時間は1821。花の金曜日の夜なのだ、さっさと帰って趣味に没頭して過ごしたい。


 ……実は二日分を続けて書いている。まめにつけているとはいえ、やはりその日のうちに仕上げる習慣を身に着けたいものだ。これ、さっきも書いた言葉だよね? 連続して書くと文体が似通るから困るっていう。


 あ、書き忘れたけどこもりんと一緒に夜間届を出しに行った。羽鳥たちが学会で忙しいから代わりにやってやったわけだけど、次こそはあいつらにやらせたい。

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