11月26日 おみかんおいしい
11月26日
寒いのにも幾分慣れてきた。とはいえ、これからまだまだ寒くなると思うと震えを隠せない。
院生ゼミがあったため、着いたのはちょっと早め。例によって例のごとく、時間がちょっと余っていたのでマイフェイバリットチェアーでしばし微睡む。
この時もなにやら恐ろしいものに追いかけられる夢を見たが、詳しいところは覚えていない。たしか、動きが早くて常時モンスタートレインをするゾンビ的な宇宙人(スプラッタなキャトルミューティレーション……という拷問みたいな実験をしてくるやつ)が相手だったはずだ。【脳幹ぴちゃぴちゃ】という言葉だけが妙に心の中に残っている。
さて、なんだかんだで目覚め、教室の準備をしてから麻生さんのゼミ。今日は八柳らが参加するため、パソコンとかは全部あいつがやってくれた。超ラッキー。
肝心の内容だけど、磁粉探傷試験の何とかってやつ。動画像計測と漏洩磁束密度が云々って言ってたけど正直よくわからんかった。先生もあんまりいい論文じゃないって言ってたし、しょうがないだろう。
ざっくりだけど、要は傷が入っているところだと磁界が変化して磁粉がめっちゃくっつくから、それを目安にき裂を評価しましょうって研究のことらしい。専門外のことって何言われてるのかあんまよくわからん。
ゼミの後は銀さんがやってくれたサーボパルサーの件について検討する。ちょうど衣笠先生が学部生室に来てくれたので、相談することに。
さしあたっての問題は実験値が理論値のおよそ百倍以上もの値を示していることだろう。さすがにあり得ないと思っていたら、単純な断面積の計算が間違っていた。ちょううっかり。
で、断面積を正しい値にしたうえで再度計算を行ったところ、ちょうど各実験値の真ん中くらいを通る直線になった。傾向としてはなかなかいい感じ。
とはいえ、引張・圧縮でだいぶブレ幅がある。試験片ごとにはそこまでではなかったものの、中には結果に二割以上もの影響を与えるやつさえあった。
とりあえず、各試験片の引張・圧縮の区別なく一つのデータとし、それの近似直線を校正直線として用いることにした。前述のとおり、これだといくらかの誤差が出かねないが、それは実際の実験の際にひずみも同時にとることで、校正直線から締付力を補正することとした。
そうそう、お昼頃、どこかの気の狂れたクソみたいな連中が神聖なる学舎の付近でクソみてえなデモをやったらしい。噂に聞く【検閲済み】関連のようで、ウチの大学のクソBotにてその旨がつづられていると情報が。
ためしに開いてみたら、確かに見覚えのある場所に『打倒【検閲済み】政権!』などというふざけた張り紙がはってある写真が挙げられていた。
あいつら、自分たちがやっていることが何なのか果たして本当にわかっているのだろうか。主義主張はこの際置いておくとして、なぜ学校というその場所でそんなことをするのだろうか。
日本の未来を憂う前に私はあいつらの未来を憂う。どうしてあの年になってまるで世の中を、わかって然るべきことをわかっていないのだろうか。あいつらがいる限り、日本はどんどん悪くなっていく。何よりひどいのは、連中自身にその自覚がないことだ。
あいつら、時代に反抗するという美酒に酔い、ファッション感覚でやっているからタチが悪い。マジでどうにかならないものか。
愚痴っぽくなるし、この日記の趣旨に反するからこれまでにしておこう。なにより、私の言いたいことをすべて書くにはとてもじゃないけどスペースが足りない。
さて、そんな情報がもたらされたとあっては見物しにいかないわけにはいかない。羽鳥と山岸が早速コンビニに行きがてらやじ馬しにいった。
残念ながらもうすでに撤収されていたそうで(昼休みにやっていたらしい)、その姿を見ることはかなわず。もし私が見ていたら大声で怒鳴り込んでいたかもしれない。私はああいう連中が心の底から大っ嫌いだ。
TPOさえわきまえてくれれば、一つの意見として認め、それだけで終わるのに……。平和を主張する割にはやり方が暴力的だからダメなのだ。言葉で物事を解決しようとするならば、ルールを守って筋を通さねばならぬのだ。ルールを守らないやつが法を主張するなぞ片腹痛いっていう。
その後はマニュアルや例の卒論の資料を作っていく。途中、山岸がおいしいミカンをくれた。皮をリンゴのように向いてみるも途中でちぎれる。ちょう悲しい。
が、味は最高にデリシャスだった。ミカンらしいフレッシュな甘みの中に程よい酸味が効いていて思わず顔がほころぶ。やはり果物はただ甘いだけでなく、この絶妙な酸味があってこそだと思う。
最近の果物はこれが分かっていない。品種改良してただ甘くするだけでは、砂糖をかじっているだけとなんら変わらないというのに。
長くなったし無駄な話も多いが、こんなもんだろう。そうそう、青松は今日はガチ歯医者で早めに帰宅していた。最初が最初だっただけに、【歯医者】や病院関係がスラング化してしまい、イマイチ信用しきれないのが悲しい。