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10月20日 ガチギレマジビビり

10月20日


 【検閲済み】線はやっぱりクソだ。十五分も遅れてるなら『わずかに遅れてる』じゃなくて『がっつり遅延している』だろうに。つーか、朝のあの時間に遅れていなかったためしがない。


 研究室への到着は0930過ぎ。ホントはもっと余裕をもってつくはずだったんだけど、【検閲済み】線がクソすぎたからだ。今日は朝食をコンビニで調達したからってのもいくらかあるけど、それにしたって【検閲済み】線がまともだったら何の問題もなかったのに。


 朝食だけど、揚げ鳥サンドとツナマヨおにぎりをチョイス。締めて408円。あ、コンビニで学会登録費のお金もおろしておいた。あれ振り込んだはいいけど学校にはどうやって請求するんだろうね? 羽鳥たちはまだ振り込んでいないっていうし、かなり気になる。


 さて、どうせコンビニだろうとあまり期待はしていなかったんだけど、どうしてなかなか揚げ鳥サンドがデリシャスだった。


 想像以上に揚げ鳥は大きく、指二本くらいの厚さという驚異のボリューム。肉はしっかりと味がついていて、噛みしめる度に香ばしい香りと特有の肉汁が口に広がり、容赦なく食欲を刺激してくる。


 サンドイッチとしてはちょっと割高ととらえられなくもないけど、あれと同じ値段のサンドイッチなんてほかにもいっぱいあるし、あのおいしさとボリュームを考えたら納得……というかかなりお得。ちなみに新製品らしい。


 さて、研究室内でグダグダした後に二限の先行履修科目である材料強度特論に向かう。授業内容はき裂進展について。学部生の授業でもやったき裂疲労試験とか疲労の進展第?段階とかそういうやつ。


 で、いつもの通り講義の合間にちょっとした雑談がはじまる。なんでも、城木先生は機械実習でNC旋盤を担当しているらしいんだけど、昨日やってきた一年生がとんでもないやつばかりだったらしく、隣の旋盤だったはずのところでガチギレの怒鳴り声が止まらなかったそうだ。


 なんか、ちゃんと指示を与えているのに零点調整した後の送りを調整していなかったり、ともかくまあ理系としてありえないことばかりだったらしい。『注意されたり、止められたりするのは何度も見たし割とあることだけど、「触ったら不合格にする!」って聞いたのは初めてだ』って言ってた。マジで旋盤ぶっ壊す一歩手前まで行っていたらしい。


 『俺さぁ、怒鳴り声超怖くって部屋の外から見ることしかできなかったんだよね』って城木先生は笑ってたけど、無関係の、それも城木先生がビビるほどの怒声って相当だと思う。もし当事者だったら確実に泣いているかチビっているはずだ。


 毎年思うけど、年々学生の質……というかマナーや常識がおかしくなってきている。あいつらどういう教育を受けたのだろうか。まっとうな人としての感性や倫理観が欠如しているんだよね。子が子を産むようになった弊害だろうか。ああいうのをゆとりって呼ぶべきだと思う。


 授業後、昼食を【検閲済み】にて調達する。焼きそば二つでおよそ二百円。コスパ最強。研究室のみんながよく食べるのもうなずける。


 が、【検閲済み】のババアがひどく無愛想だったのかうなずけない。しかもお箸をつけてくれなかった。セルフとはいえ、普通の人なら『そこにありますよ』とか声をかけてくれるらしいのに。ホントどうなってるんだろうか。


 しかも、研究室でウキウキと焼きそばの準備をしていたら『どうした!?』、『なんでお前そんなの食べてんの!? とうとう頭イカれたの!?』、『ウィンナーを裏切ったのかよ!』などとみんなに驚かれた。羽鳥や青松はともかく、世良さんにまでも驚かれる始末。


 そんなにウィンナーな印象が強かったのだろうか。みんな私をなんだと思っているのか。いみわかんない。


 そうそう、柳下が水瀬を【検閲済み】と言い間違えていた。きっと今日【検閲済み】となにか予定でもあるんだろう。


 午後は仮配がやってきた。庄内くん、秋道くんにウチの研究の概要とフーリエ解析の手順について教える。宿題として単語の意味調べを命じたけど、それ以外に特筆するべき点はなし。


 意外なことに、秋道くんはルービックキューブをできる人だった。体育会系の印象が強かっただけに、驚きを隠せない。


 仮配説明後にUSBメモリのキャップが無いことに気付く。そこら中をみんなにさがしてもらっても見つからず。どうせそのうち見つかるだろうと思いつつも、柳下に『キャップあったら教えてください』と伝えたら、『あっ、こっちに入ってた』と柳下の筆箱の中から見つかった。


 が、あの野郎、『似たようなUSBを使っている──が悪い』とかぬかしやがった。つーかあれ、状況的に柳下が自分の筆箱に入っているキャップを使わず、私のキャップを使ったってことになるんだけど。


 あいつは心の底からブラックらしい。あの笑顔の裏に潜む悪意に恐怖を隠せない。


 帰り際、青松に絡まれた。帰ろうと声をかけたら『帰るの? な↑んで?』とどこかで聞いた覚えのあるフレーズが。


 『家帰ってゆっくりしたいんです』と答えたら『理由が浅い。帰る理由になっとらん』、『風呂に入って効率的に休息をしたいんです』と答えたら『だから根拠になっとらん! まずは論文もってこいや!』、『風呂によるリラックス効果は一般的に、学術的にも広く認められています』と答えたら『君が何をしたいのか伝わってこん』、と近年まれにみる再現度。


 奴の後ろにどこぞの准教授の影を幻視した。あるいはあれが噂に聞くスタンドというやつなのかもしれない。


 こんなもんだろう。予想以上に長くなった。日記をすっきりまとめる技術を身に着けたいものだ。

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