10月12日 学会
10月12日
見ているかもしれない月曜日の誰かへ。今、私は必死に300秒を耐えきろうと頑張っています。泣きそうになっているかもしれません。上手くいくように祈っておいてください。
あと、適当でいいので日記に何かメモをしておいてくれるとうれしいです。
変則的ではあるが、一応日記をつけておこうと思う。
今日は学会。朝早くに【検閲済み】大学に到着する。周りにいるのがみんなT大だのT大だの、おまけに学生はほとんど院生でめちゃくちゃ心細い。衣笠先生と合流するまでの間は生きた心地がしなかった。
先生と合流後は受付を済ませる。なんと登録費だかに四千円も取られた。経費から落ちるとはいえ、財布が一気に軽くなることに悲しみを隠せない。いったいどうしてあんなに金がかかるのか。
しかも、あそこで学会員の登録ができると思ったのに『ここじゃ無理です』と断られる始末。衣笠先生も『文面から見ればできるはずなんだけどな……』って零していた。ホント、いったいどうなっているのだろうか。
さて、会場に到着後はパソコンの動作確認を済ませ、待機時間に。会場そのものはそこまで大きくはなく、【検閲済み】号館のあの教室を横に広くして縦に短くし、【検閲済み】号館テイストにした感じ。建物そのものはかなりボロかったことをここに記しておく。
しばらくすると続々とそれっぽい人がやってきた。超怖い。オオカミの群れの中に放り込まれた羊の気分。途中で衣笠先生の先生って人に挨拶をした。あと、小森先生はちょっと遅れてやってきた。途中で道に迷ったんだとか。
そうそう、たぶん一番偉い人だと思うんだけど、【検閲済み】駅から歩いてやってきた猛者がいた。汗だくになったから近くでシャツを買って着替えたそうな。発表者じゃないとはいえ、学会当日にいったい何をやっているのか。理系の人ってちょっと変わった人が多いと思う。
あと、荻原さんもやってきた。衣笠先生と新婚トークを、小森先生とベイビートークを繰り広げていてなかなかに楽しそう。子供も奥さんも、それどころか恋人すらいない私はどうすればよかったのだろうか。
時間になったところで発表が始まる。T大の院生、衣笠先生、T大の先生、私の順番。まさかのトリに緊張を隠せない。これは新手のいじめだろうか。
最初の発表は【検閲済み】の圧力分布の同定についてだったと思う。内容はともかく、発表の技術としてはあまり変わらないように感じた。あと、向こうは設備がいいのか指棒じゃなくてレーザーポインタを使っていた。こんなところにも格差を感じるとは。
質疑応答においては下手なことを言う前に先生の方が回答していた。【検閲済み】の先生がめちゃくちゃグイグイ聞いてきて怖かった。いったい何が彼をあそこまで駆り立てていたのか。
次は衣笠先生の発表。特にコメントすることがない……と言いたいところだけれど、衣笠先生は私たちに対する大いなる裏切りをしやがった。
うん、あのさ、私たちはいつもこもりんに『レーザーポインタじゃなくて指棒にせえや』ってうるさく言われてるじゃん? 発表の練習の時だって、その中身じゃなくて『指棒をフラフラ動かしたりするな!』みたいな、そんなクソどうでもいいことを指摘されるじゃん? 衣笠先生だって、それに無言でうんうんと頷いてるじゃん?
衣笠先生、普通にレーザーポイントで発表していた。この本番という土壇場で裏切りやがった。ちょうショック。
なお、ここでもやっぱり【検閲済み】の先生がグイグイきてた。温度のことは考慮されているのか……って質問だった気がする。
その後はT大の先生。【検閲済み】関連と【検閲済み】とかのお話。【検閲済み】の鳴きを音声ファイルで流したり駆動機構をアニメーションで流したりと新鮮な印象。言ってることはよくわかんなかったけどだぶんすごいことをしていたんじゃあなかろうか。
やっぱり【検閲済み】の先生がグイグイ質問する。もはや様式美だ。あと、小森先生もなんか質問していた。内容までは覚えていない。
そしてとうとう自分の番に。指棒を装備した瞬間の会場な微妙な視線がいまだに忘れられぬ。そりゃあ、最後だけレーザーポインタ未装備だったら不思議に思うよなぁ……。
発表そのものは恙なく終了。多少時間をオーバーしたとはいえ、詰まるところも言い逃したところもとりあえずはない。なるたけ目配せするように意識し、いかにも自信満々ですよと言わんばかりに虚勢を張って臨んだ。
が、質問タイムでいくらかボロがでる。『この研究の将来的な最終目標は?』、『大きな建造物にはどのように適用するのか?』、『今回は平面モデルだったが、接合面が湾曲していた場合はどうなのか?』って三つきかれる。最初のがグイグイ来る人、二つ目も確か一緒、三つ目は【検閲済み】の鳴きの人だった。
一応一つ目には答えられたものの、あとは衣笠先生に熱い視線を送ることで事なきを得た。いや、事はあったんだと思うけどなんとかごまかした。三つ目は回答中に時間になったためまたのお話ということに。
T大の院生でさえほぼ全部先生が答えていたんだし、たかだか【検閲済み】大の、それも学部生があそこまでやれば上出来だと思う。ましてややる気も情熱もなにもかもを備えてない人間なわけだし。
発表終了後、最後のあいさつ回りの時に一番偉い人っぽい人から励ましのメッセージ(?)をいただいた。『学部生でよくがんばったね!』とのこと。『質問の時、衣笠先生をガン見してたからちょっとびっくりしたよ!』と茶目っ気たっぷりに言われる。あと、例の最後の質問についても鳴きの先生とお話しした。
さて、これでようやく重荷が取れたので帰ることに。衣笠先生と荻原さんはもうちょっと残るとのことで、小森先生と帰ることになった。
本当の闘いはこれからかもしれないと覚悟を決めたのは、あの瞬間だったと思う。
驚くべきことに、あのケチな小森先生が『昼飯くらいならおごったる』とか言い出した。コンビニか何かで適当に済ませようと思っていただけに驚きを隠せない。
で、そのまま【検閲済み】の駅前まで行きぶらぶらと店を探す。マジでいろんなところを歩きまくった。
正直ファミレスで十分だったんだけど、先生もその辺の地理とかが分からないらしく、人へ食堂の場所を聞いていくうちにいつの間にか【検閲済み】屋の八階(だったっけ?)でブースを開いていた【検閲済み】に来てしまった。
どうやらなにかのキャンペーン的なものをやっているらしく、期間限定一日二十食限りの、湯葉定食らしき『もみじ』なるものを一押ししている。お値段驚きの3500円。ちょうたかい。チビりそう。
『さすがにお高いですね』って言って通り過ぎようとしたら『おう、ここにしようや』って小森先生は入っていく。『相場を崩さんように、お前は黙っとれ。注文するから』等と意味不明の発言をし、注文を取りに来たおばちゃんに『こいつを二つ』と有無を言わさず宣言してしまった。
初めてあの人を太っ腹だと思った。機嫌でもよかったのだろうか。『こういうときでもないと高いもの食えんからな』とのこと。ここまでよくわからん話に愛想笑いをし続けたかいがあったと思う。
で、よくわからん話に付き合っているうちにそれがやってきた。せっかくなのでURLを張っておく。アドレス切れも考慮して、こっそり画像もふぉとらいぶらりにぶちこんでおこう。
あと、こっそりパ●ドラ内で羽鳥に『今小森先生と二人でランチなう』と送っておいた。
【本当はこのスペースにURLが記載されていました】
今気づいたけど、画像にはエビがあったのに実際にはなかった。鮭ならあったけどこれ詐欺じゃね? エビと鮭って結構ギャップ大きいよね?
肝心のお味はなかなかにデリシャス……ではあったけど、育ち盛りの我々としては聊か上品すぎるきらいがあったのを否めない。おいしいんだけど、もっとガツンとしたパンチが恋しい。あと食べ方よくわかんないのも多かった。先生もわかってなかったし。
でもマツタケの土瓶蒸しはおいしかった。ちまちまとしか飲めないのがちょっといただけないけど。あと、デザートのわらびもち(だと思う)もすっげえよかった。たぶん今まで食べたわらびもちで一番だと思う。
なお、『今度真島さんたちを学会に連れて行くときに困るから、何があったかはみんなに言うなよ』と口止めされた。たしか、今度は南郷さん、麻生さん、真島さんと共に学会に行くらしいから、さすがに今日と同じようにやっては懐が厳しいのだろう。
言われたとおり、該当者に対して口にすることはしないようにする。もし万が一真島さんたちがこの日記を見て知ってしまったとしても、それはこっちのあずかり知らぬことだ。そんなことまで知ったこっちゃない。
ランチの後は別れてお家に帰った。途中、【検閲済み】で降りるはずがうっかりしていて【検閲済み】まで行ってしまう。お天気も良かったし、浮かれていたのだろう。
パ●ドラからのメールにて、『おつかれさまです……』って返信が来てた。美味しかったようなそうでもなかったようなかなり微妙なラインだと思う。
かなり長くなってしまった。最初の方に日記をつけておいてくれと書いたのに、こういうときに限って誰も見なかったらしい。あ、今日の銀さんの昼餉はイカ墨焼きそばだったそうな。