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10月1日 内定式サイレント

 ──ちょっとお風呂セット借ります。 【泊まり明けの卒研生】

10月1日


 研究室への到着はいつもと同じくらいだったはず。内定式があったからか、学部生はほとんどいない。ちょうサイレントでめっちゃ静か。井浦だけは内定式がなかったらしく、朝から元気に実験していた。


 研究室へ到着した後は少しだけ寝る。ここ数日帰るのが遅かったうえ、なぜか眠れないことが多くて睡眠不足でフラフラだった。電車内でも危うく寝過ごしそうになったといえば、どれだけひどかったか理解してもらえるだろう。


 その後は学会スライドを無心で進めていく。衣笠先生に指摘された部分をひたすらに直し、何度か自分で発表練習もした。いつもはささっとすっ飛ばす例のトライボロジー理論についてのスライドの説明要項が多すぎて泣けてくる。


 あれだけ詳しく説明しなきゃいけないってことは、いままでのあのスライドでの発表、全部クソだったってことだ。先輩たちみんなあのへん流してたし、一体全体どうしてこんなことになっているのだろうか。


 午後も午前と似たり寄ったり。修正しては発表し、発表しては修正するの繰り返し。いい加減時間感覚がおかしくなってきた。というか、日々の記録のために付けている日記なのに、昨日と今日やったことの境が分からなくなってきている。


 ぶっちゃけこの日記も記憶がごちゃ混ぜになっている可能性が否定しきれない。日記メモには『スライド』、『みんないない』としか書かれていなかった。曜日感覚もすっかり狂ってきたし、気づけば研究室のいつもの席でスライドを弄っている気がする。


 学会が終わったらリフレッシュしよう。久しぶりに川原で【検閲済み】を吹くのもいいかもしれない。あ、その前に進めねばならぬ日課をこなし、終わりの見えない夏を終わらせてあげなければ。たしかあれ、もう一年近く……下手したら二年もあの夏から抜け出せていないはずだ。さすがにかわいそうすぎる。


 夕方ごろ、雨風がひどくなってきたので大海先生が『早く帰るように』と通達してきた。が、そういうわけにもいかないので作業を進める。


 そうそう、四限の終わりくらいに照くんをはじめとした仮配生がやってきた。こもりんにインターンの関連書類を出しに来たついでに研究室を見学にし来たらしい。『水面下でテーマ内定が出てるってホントですか?』と聞かれたので真実を伝え、ぶっちゃけトークをしておいた。


 なお、こもりんの話が長すぎたため、彼らは小一時間ほど待つことになっていた。しかも研究室見学もみんないないもんだからひどく味気ない。だからこそぶっちゃけトークくらいしかすることがなかったともいう。


 だいたいこんなもんだろう。ひどく短く中身も薄っぺらいと思うが、日記の付け始めのころはこんな感じだったことを思い出した。これも成長なのだろうか。

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