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9月22日 解析→× 実験→×

9月22日


 普通に涼やか。もうこれ書く必要なくね?


 研究室への到着はいつもと同じくらい。すでに扉が開かれており、青松の名札が裏返っている。ずいぶん早く来ているんだな……と思ったら、どうやら昨日そのまま泊まったらしい。『誰もいない研究室はちょっと怖い』って言ってた。


 なお、ブラック柳下は来なかった。ゼミ資料も『全然だよ~』なんていいながらちゃっかり完成させやがっている。さぞや楽しい休日を過ごしているんだろう。休み明けに問い詰めてやろうと思う。


 午前中は学会の発表をちまちま見つつ銀さんを待つ。比較的早めの時間に来てくれたため、さっそく引張試験をすることに。


 昨日の反省を踏まえ、ボルトの一つをダメにする覚悟で思いっきり締めてもらう。ガッチリとはまったのを確認し、そのまま記録を取ってもらうことに。微妙に時間がかかるのと試験機の前を離れられないのがネックと言えばネック。


 その間に私はいざというときのために逆解析を進めることにした。逆解析値は今まで一度も出していないし、幸か不幸か学会の準備でやり方も考察の書き方もあらかたわかっている。データさえ出れば安心。


 問題があるとすれば、衣笠先生プログラムが私の作成した解析モデルにも適用できるかどうかだろう。こればっかりはやってみるまで分からない。


 んで、早速解析マニュアルに則って順解析を進めていく。まだ数週間前の出来事のはずなのにかなり久しぶりな感じがしてなんだか不思議。そして本来の研究用のモデルは久しぶりすぎて何が何だかよくわからなくなっていた。


 なんとか思い出しつつも進めていくが、ここでやっぱり問題が発生。なんと、ansysortを実行するものの、それ以降octaveが解析中のままうんともすんとも言わなくなった。先生モデルでは十分程度で終わる解析だったので、これは明らかに異常事態。


 ちらりといろんなファイルを確認すると、あきらかにデータ形式がおかしいことになっていた。まず、1 Nmのmeanpressを解析するのにめちゃくちゃ時間をかけているし、その他ファイルも中身がバグったみたいになっている。


 さすがに泣きそう。なんでウチの班はこうも問題ばかり起きるのか。


 結局、どうしようもないので解析できるかもしれないという一縷の望みをかけてほったらかしておくことに。なお、こいつは二百分ほどかけて解析が終わった。さすがに帰りの間際ということもあってそこから順解析する気にはなれなかった。


 お昼の時間ごろ、真島さんがさっさと帰って行ってしまった。まだまともにデータもないし資料も全然できていないってボヤいていたけど、果たして本当に帰ってしまって大丈夫だったのだろうか?


 午後は引き続き作業に当たる。銀さんが引張試験の結果を持ってきてくれたため、昨日のトルクの奴と合わせてトルクと締付力の関係を探ることに。


 が、作業そのものはうまくいったものの、弾かれた値がとんでもないことになっていた。1 kN締めるのに100 Nm以上のトルクが必要だという結果になってしまっている。ちなみに、銀さんが今使っているトルクレンチの最大値は30 Nmくらいだったりする。もうどうすればいいのか。


 衣笠先生も同じサイズのボルトをトルク管理していたので参考までにデータをのぞくと、5 Nmで0.31 kNほど。これを信じるならば明らかにこっちが間違っているってことになるけど、だからと言ってどこがどう間違っているかまでわかるはずもない。


 引張試験が怪しいといえば怪しい。だってあれ、ピークこそ出るものの荷重変位線図は出せないヘボいやつみたいだし。ただ、トルクの奴も不安がないというとウソになる。


 保険の解析もダメ、本来の発表内容である実験もダメときた。もう絶望しか感じない。


 とりあえず、明日(というか今日。書いている時点でさらに日付が進んでしまっている)はお泊りしてなんとかすると決めた。実験関連でなあなあで済ませるにしても、解析をなんとかやり遂げるにしても、どういった形であれケリをつけると決めたのだ。


 『できるできないじゃねえ、やるんだよ』とはだれの言葉だったか。『理系に「できない」という言葉はない』ってのもどこかで聞いたことがある気がする。


 最後に。今日は青松が研究室旅行の写真をパソコンに入れてくれた。二日目の昼ごはんの場所で撮った写真がCDのジャケットみたいでかっこいい。


 特にきーたーの迫力と男前度が凄まじかったことをここに記しておく。いや、マジでなんかオーラが出てるんだよ。嘘だと思うならふぉとらいぶらりを見ると言い。マジでびっくりするから。


 あと、せっかくなのでその写真をパソコンの背景にしてみた。決意じみた、どこか達観していそうで何かを諦めたかのような、そんな何とも言えない表情で何かを見つめている鈴井、井浦、きーたーがすごくかっこいい。井浦の隣で黄昏ている浜崎もなかなかに味がある。なんつーか映っている全員が凄まじい魅力を放っているから、これを読んでいる諸君はぜひとも目を通してもらいたい。


 そうそう、帰り際に青松と播磨さんとおしゃべりした。なんかいろいろ楽しいことを話した気がするけどイマイチ内容を覚えていない。

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