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9月14日 食堂占拠迷惑マダム

9月14日


 研究室への到着はいつも通り……と言いたいところだけど、若干遅れ気味だった。久しぶりに自転車を使ったうえ(実に二週間ぶり!)、朝起きるのが十五分ほど遅れてしまった故である。


 まだ本格的に始まっていないし、始まったとしてもよほどのことがない限り全く問題ないレベルだけど、一度堕ちると止まらないから気を付けておこう。


 そうそう、行きの電車にて素晴らしいことがあった。なんと、朝のあの時間の【検閲済み】線で【検閲済み】から座ることができたのだ。しかもしかも、背の低い、可愛い&小動物系のおおきなおねーさんが前に立ってくれるという奇跡も起きる。


 もうね、目のやり場に困ったね。席が右奥三席の左端だったから、どう視線を動かしても目の前にあるんだもん。どう頑張っても逸らせないものはしょうがないよね、うん。


 眼福とはまさにこのことを言うのだろう。久しぶりの大当たりに心臓のどきどきを隠せない。


 朝からすっげぇ幸せな気分。先週のクソな気分がいくらか払拭されたよ。報われた……ってほどじゃないけど、いくらか気分が楽になった。


 あ、もちろん、紳士だから寝たふりして極力見ないようにしたけどね?


 嘘くさく聞こえるけどこれは嘘。ホントは薄目でちょっとだけ見てた。でもあのかわいいおねーさんの荷物が視界をいい感じにふさいでいたし、こっちもうつむいていたからアングル的に問題なし……のはず。


 さて、研究室に到着後は学会のスライドを進める。とりあえずの枠組みはすでに完成していたから、肉づけの作業がメイン。適当にデコってエレガントな仕上がりを目指す。


 そこそこいい感じにはなったけど、σs-C分布のところがイマイチさみしい感じが否めない。あそこ、重要ではあるけど説明することが少ないからちょっと困る。後で何か対策を考えておこう。


 今日は銀さんも早めに来てくれたため、さっそく卒研のほうの引張試験をしてみることに。その道のスペシャリストは羽鳥とのことだったのでご教授願い、三人ですでに設置されていた三年生用の円孔試験片を撤去した。


 チャックが意外に重くてビビる。あれ一人じゃ作業は無理だ。


 で、撤去も終わりさぁボルトを設置しよう……としたところで問題発生。なんと、チャックを最大限に開いてもボルトの頭が入りきらない。ほんっと微妙にボルトの頭の方が大きい。


 つまり、引張試験ができない。由々しき事態。南郷さんにも相談したものの、チャックもあれが最大でほかのものはないとのこと。


 どうにもしようがなかったので、とりあえずその証拠写真を撮り、衣笠先生にメールで指示を仰ぐことに。なお、ただ案もなく頼るのもアレなので、『ボルトの頭を切断しても問題ないか』ということを付して記しておいた。


 その後、1500くらいにユーリさんと待ち合わせして研究室対抗運動大会の懇親会の申請に行く。学生支援センターに時間の確認を済ませ希望時間を伝えた……んだけど、なぜか1700からは無理だという回答が。


 なんでも、一般の利用者もいるから、ドンチャン騒ぐのは1800以降にしてほしいらしい。前回と規則が変わったのだろうか。


 ……学食ってそもそも学生のためにあるものだと思うんだけど。そこのところはどうなんだろう?


 昼のクソ混んでいる時間に……いや、そうじゃなくとも子供をほったらかして学食の席を占拠するマダムの集団を見ると殺意が湧いてくる。子供は騒ぎながら走りまくるし、マダムは荷物広げて席を占拠してデカい声でしゃべりながら長時間居座るから、正直良い印象は全くない。利用すべき人たちが利用できないばかりか、物理的に迷惑をかけてくる人種を好きになれるはずがない。


 だいたい、あの学食がそれなりに安いのってこっちが学費払ってるからじゃないの? なんであのマダムたちがその恩恵受けてるの? おかしくない?


 ともかく書類を受け取り、こいつに必要事項を記入。そして食堂に行って料理の注文を済ませる。事前に予算については話し合っていたため、意外とスムーズ。


 一つ問題があったとすれば、食堂側は1700からでも問題なしという認識だったことだろう。両者にて齟齬が存在している。で、どうせ使われる側がそれでいいってんだから1730でってことにしておいた。


 この辺の書類の控えは画像データとして帳簿フォルダにぶち込んでおいたのでいざというときは使うこと。形のある証拠ほど揉め事で強い武器は無いのだ。


 その後は城木先生に最終的な認可をもらい、学生支援センターへ。例の時間の件については『準備は1700でいいけれど……』と何ともはっきりしない答え。無理なら無理なりにちゃんとした理由を用意してほしいものだ。


 さて、すべての用意が整ったところで総務に書類を提出しようとしたら、『本日の業務時間は終了しました』とのステキな掛札が。どうやら、一号館のあの手の役所は授業期間外は1600に終了してしまうらしい。


 あいつら、たしか通常でも0900スタートだった気がする。昼休憩をたっぷりとっていることを考えると、なんと一日六時間労働。学生支援センターのくせに学生支援していない。その上高給取り。


 本当にいいご身分だ。いつかその椅子に就きたいものである。


 結局、明日提出するということに。ユーリさんは明日用事があるため、諸々はこちらで預かった。どのみち羽鳥とウチの研究室の新歓会で赴くことになるから大した手間でもない。


 そうそう、時系列がいくらか前後するけど、今日はやたらみんな来た。死の宣告があったからしょうがないかもしれない。


 それと、真島さんがお土産のチョコレートを持ってきたのでもらった。実にチョコらしいチョコでなかなかにデリシャス。どこの土産かは知らぬ。


 珍しいことに、柳下が試験片を作っていた。しかも試験片をやすりがけしていた。さらに、試験片を焼いてさえもいた。とどめとばかりにク●クラしていた。最後の最後でいつも通りだ。


 もう一つ。山岸が登校してくる際にスピード違反(?)だかで捕まったらしい。しかも、前回捕まった時と全く同じ場所で捕まったそうだ。罰金は九千円ほどらしく、研究室ですごく嘆いていた。


 『今日は何しに来たんだ?』との井浦だったはずの問いに、『一杯九千円のラーメンを食べに来たことにする』って答えていた。ポジティブなのはいいことだと思う。 


 帰り際、今後のためを考えて食堂の押さえ方のマニュアルを作った。あれさえ読めば誰でも出来るスペシャルな仕上がり。写真付きで超わかりやすい。これでいつでも柳下に任せられる。


 風邪の諸症状はいまだに治まらず。あと、なんか心臓が張るように痛むことがある。ぐりゅぎゅる動いて飛び出そうな錯覚を覚えることも。耳が遠くなっているのも相変わらず。静かなのはいいけれど、ユーリさんくらいの声だとひどく聞き取りづらくて敵わない。旅行に行く前にさっさと治したいものだ。

 全国の大学の学食へ出没するマダムのみなさんへ。


 マジで昼飯時はやめてください……。あれは学生のための施設なのです……あなた方のせいで階段で座って食べる人もいるし、最悪食べないで午後の授業に臨む人もいるのです……。

 あと、子供をほったらかしておしゃべりに夢中にならないでください……。うろちょろされると本当に危ないんです……。いろんな機材を持って歩いている時に、子供の全力ダッシュを喰らったら双方ともに無事じゃ済みません……。食品のトレーを持っていたら、ヘタしたら顔面大火傷ものなのです……。

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