しつこいギルは面倒くさい
バレた。何故だ。
帰って来て早々に、問い詰められている。
この勢いだと、結界魔法が発動しそうだ。困る。
「聞いているの、エリー。誰が来たの?何をしてたの?何で扉を開けたの?どのくらいいたの?…エリー、どうして言いつけを守らないのかな。」
私が家主のはずなのに…おかしい。そして何故わかったのか、私はそれを聞きたいのにもかかわらず、聞ける雰囲気ではない。
「ねえ、エリー。こんなに知らない奴の匂いをつけて…僕をどうしたいの?」
匂いか。匂いからバレたのか。いや、そんな匂いしないだろ。
「お、落ち着きなよ、ギル。」
「落ち着けるわけないだろ!」
怖い。怒鳴られたのは初めてだし、何故私のほうが立場が弱いのだろう。
魔法の腕を越されてしまった時からだったか。
育ててやったのに、理不尽である。
「ごめん、怖がらせるつもりはなかったんだ。僕はエリーが心配なんだよ。僕の愛しのエリー。」
心配性すぎて、鬱陶しい。暑苦しい。抱きしめてこないでほしい。今は夏だぞ。
「あー、来てたのは迷子の鬼だよ。大丈夫だったから、暑いから、離れろ。」
「なんでこんなにそいつの匂いがついてるの?」
洗濯しているし、水浴びもして清潔なはずなのに…なぜ匂いがわかるんだ。
「え?エリー、寝室からそいつの匂いする。どういうこと?返答次第では許さないよエリー?」
どんどんギルが荒んでいく。昔は可愛かったのに。
「寂しいって泣くから…仕方ないだろ!もう、なんだってんだよ。」
ギルがしつこくて、そろそろ面倒になって来はじめた。
「わかったよ。ごめんエリー。分かった。」
何が分かったのか知らないが、落ち着いたらしい。よかった。
ちなみに、薬の報酬は、私より多かった。ちょっとかっこいいからって、生意気だ。