表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人喰い魔女の拾い物  作者: sino.
6/8

アホ可愛いってこれのことか

あれから2日経った昼ごろ、家の扉をノックする音が聞こえた。

ギルはそんなことしないし、気のせいかと思い無視をした。

2回目のノックの音。

ふむ、気のせいじゃないのかもしれない。

重い腰をゆっくりあげ、扉に向かう途中、3回目のノックが聞こえた。

せっかちなやつだ。私は覗き穴も見ずに、扉を開けた。

「おなかがすいた!帰り道も、わからない。おまえ、俺を助けろ!」

私を見るや否や、詰め寄ってきて要望を一方的に話してくる…鬼の子?

こめかみに小さな突起が二つ付いてるし、これは鬼だな。

鬼って何食うんだ?

「おい、聞いてるのか?まず開けるのも遅いし、お前は愚鈍だな!」

なんだか腹が立つやつだが、踏ん反り返っているのが少し微笑ましい。

アホみたいだからだ。決して可愛いとかじゃない。

「どんなもの食うんだよ。うちにはご馳走はないよ。」

喋り方や態度がなんだか偉そうだ。

実際に偉い立場なのかもしれない。

「肉であればなんでもいいぞ!」

なんでもいいと言うことなので、干し肉を与えることにした。

「お前…これなんだ、こんな固い肉初めてだ!何が何でも食ってやる…!」

干し肉をめんどくさいから分厚いまま渡してやったら、なぜか闘争心を燃やしている。

やっぱりこいつは、アホだ。

「帰り道なんて、お前がどこからきたのか知らないよ。どこから来たんだい?」

最近外を出てないから情勢には疎いが、そうそう地名は変わらないだろう。

鬼に国があるとかも知らないが。

むしろ鬼なんて初めて見たが。

「知らない…。どこって言われても、場所なんて知らない!綺麗な鳥が俺をここまで導いた。そいつが俺の帰り道を知っているかも!」

こいつは、本当にアホだ。

導いたんじゃない、ただ勝手に鳥に付いて行っただけだ。

道なんて知っているわけがない。

「はぁ…とりあえず、迎えがくるまでここにいな。仕方ないね、全く。」

鬼族に敵とみなされても困るからな。

全く、仕方のないことだ。

「そうだな!仕方ない、ここにいてやるよ!」

どの口が言うんだこのガキが。



それから4日後、迎えが来た。

とても逞しくて恐ろしい形相の鬼たちが、慌てていたのが滑稽だった。

何度もお礼を言われたが、違和感が凄かった。

しかし、ギルが帰ってくる前に来てくれてよかった。

扉を開けるなって、言っていたような気がするからな。

あいつは話が長いから、ほとんど聞いてないが。

扉を開けるな、外に出るな、だったと思う。

まあ、バレないだろう。大丈夫だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ