その言葉は私を拘束する
「エリー、愛してるよ。だから外に行くなんて言わないで。分かった?」
「分かったから、結界魔法はやめろ…。」
いつになっても、ギルの瞳の濁りは消えない。むしろ悪化したような気もする。
そして、いつのまにかギルに魔法の腕を越されてしまった。
人間を喰っていないから、というのもある。
ギル以外を喰おうにも、外に出れないのだ。そんな機会が来ない。
喰う予定で拾ったはずなのに、なぜ私が軟禁されているのだ。
「ギル、もうお前のことは喰えないって言っただろ。どうしてまだここにいるんだ。」
こんな美味しくなさそうな人間、喰えたもんじゃない。喰えないならここに置く理由もない。
そう思って、帰そうとしたのにも関わらず、いつまでも居座っている。
「エリー、何回言えば分かってくれるの?エリーを愛してるから、どこにも行かないしどこにも行かせないって言ったよね?」
ギルは最近、おかしくなった。
多分私に家族愛を持ってしまったんだと思う。そしてギルは家族に愛されたことがないから、家族を愛したことがないから、こんなに歪んでしまったのだ。
「早く結婚しようよエリー。」
断じて、家族愛以外の何ものでもない。
私はそう信じている。