異世界への転移
「おーい」
という声がしたので後ろを振り返った。しかし、こちらに走ってくる男子生徒は俺のことなどまるで居ないかのように横を過ぎ去り前の集団に溶け込む。
いや知ってたよ?俺に声をかけたわけじゃないって気づいてたよ?でもやっぱ振り向いちゃうじゃん普通ならさ。
と心の中で独りごち、ため息を吐いて前の集団を見やる。5人の男女は楽しそうに騒ぎながら歩いていて、見た目からリア充感がひしひしと伝わってくる。
なんだか自分が可哀相になって一人いたたまれなくなったので俺は足早にその場を去ることにした。
そうして学校を出た俺がやってきたのお気に入りスポットの河川敷だ。少し肌寒い秋風が吹く中、ひとりベンチに座って自分の灰色の高校生活について物思いに耽ることにした…………。
眠ってしまったせいで意識が朦朧としている。ふと時計を見ると、針はすでに6時半を過ぎた辺りを指していた。
「帰るか…」
そう呟き立ち上がり周りを見るが近くには誰もいないようだ。まぁかなり暗いし当然といえば当然である。
こんな時間になるまで考え込むとは俺ってば意外とシンキングマンなのかもしれん。
などと考えて一歩踏み出そうとしたとき、足元に謎の模様があることに気づいた。
「なんだこれ。落書きか?」
ぱっと見ミステリーサークルのようにも見えるそれを眺めていると急に淡い光を放ち出した。
うわー、もう凄い嫌な予感するわ。どうせあれでしょ?キャトルミューティレーションとかでしょ?気がついたら宇宙人に改造されてるんでしょ?なんて考えながら
「まだ夢でも見てるのか…」
と呟くと、その円は急に輝きを増して俺を包み込んだ…!