表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/9

喧嘩上等

お久しぶり、そしてしばらくさようなら。

「…ということで、雀さんを解放して疫病調査してもらいます」


青葉は私の肩に手を置いて薫と玄に言った。


「その前に1つ聞いていいか?」


薫が怪訝な顔で尋ねる。


「何で青葉もアンタも砂埃(すなぼこり)まみれなんだ…?」


私たちの衣服は所々白く砂埃を被っていた。




30分ほど前…。


「やっぱ綱渡りできねぇよ!!」


私は男の子の熱病を治した後、もと来た道を戻っていた。

清龍独特の移動手段。綱渡り。


青葉は少し苦笑いしながら手を差し出す。


「手、貸しますよ…」


「あっ…ごめん…」


「あっ…」


ドサッ……。


約10メートルのところから落ちた。

私が空中で行った行動は、青葉を抱きしめ、彼が地面にぶつからないように私を下にして落ちることだ。


死ぬかもな…。


死なないけど…。


案の定死んで、死ななかった。

青葉は無事。


酷く着物は汚れたが。




「馬鹿かね、アンタらは」


薫がそう言う。


「いや、あれは雀さんのことを考えなかった僕が悪く…」


「あぁ!もういい!そういうのは!」


「でも、雀さんはホントに悪くないから。分かってよ、薫」


チッ…。

薫は大きな舌打ちをした。

彼女は腕を組み、鋭く私を睨んだまま。


「私はアンタをまだ信じちゃいないよ」


すーっと息を吸ってため息のように続ける。


「青葉がアンタを信じるって言ったんだ。それでもし嘘ついて裏切ってたら…」


薫は静かに私の方へ歩き、横を通り抜ける時に言った。


「簡単には殺さないよ」


そう言って薫は部屋を出ていった。


「あーあー…めんどくせェな…」


玄は後ろ頭をポリポリと掻きながら私に近づく。


「ほらよ」


玄は私に右手を差し出した。


「薫と打ち解けるのは時間がかかるが、俺とは仲良くしようや」


「え…」


玄はフン、と笑って少し強引に私と握手した。


「安心しなよ、雀ちゃん。薫と仲良くなるのは難しいが、悪いやつじゃない。近いうち分かるさ」


「よく分かってるじゃないか」


そこに居たのは薫。


「ホラ、雀、この服に着替えな。ったく、汚ねぇ…」


そう言って薫は私に服を渡した。


あ…私が来てた着物とよく似た、洋服だ。


「雀、あんたの着てる着物は清龍には無くてな、すまないけど似た洋服で我慢してくれ」


そう言って薫は部屋から出て行った。


「な?悪いやつじゃないだろ?」


そう言うと玄はくるっと振り返り、上り階段の方に向かって行って言った。


「青葉…組手稽古の時間だ、着替えてこい」


その言葉を聞いて、隣にいた青葉の周りを纏っていた空気が冷たくなる。


「やりますか…」


そう言って、青葉は自分の部屋に戻った。


組手稽古…?

一応戦いの訓練でもしてるのか。


私は今朝起きた部屋に戻って着替える。

朱色を基調とした和服から洋服へ。


あ、動き易い。


たぶん似せるために、あえてスカートにしてある。

ちゃんと中身が見えないように中にスパッツの付いたもの。


スカートでもかなり動きやすい。

上の服はフードが付いていた。


この家の屋上から声が聞こえる。


「よっしゃ始めっぞ!青葉ァ!!」


「全力で行く!」


屋上に上がると青葉と玄が相対していた。

薫がちょうど二人の中心にいた。


「準備いいか…よし、始め!!」


バンッ!!


瞬間、空気のがぶつかる様な音がして青葉の姿が消える。


いや、移動した。


玄の懐に青葉はいた。


「せェ!!」


青葉の少し細い腕から放たれているとは思えない強烈な拳突き。


それを喰らって玄は笑っている。


「やっぱお前の軽いなァ…」


ゆっくりと玄の左腕が後ろに引かれる。


「ッラァ!!」


速い…!!

腕が見えなかった。


「ッ…!」


青葉は腕を交差してそれを受け止める。

しかし、吹っ飛ぶ。


え、ここ屋上なんだけど。

吹っ飛んで屋上から飛んでいく。


「あっ、ヤッベ」


玄がそう言った。


え、じゃあヤベーじゃん。


そう思った瞬間私は走る。

屋上から私も飛ぶ。


吹っ飛ぶ青葉の足を掴んで屋上に投げる。


「えい!」


肩が脱臼した。

青葉はたぶんこのまま屋上に戻る。


私はまぁ…死なないし?


そう思っていたら右手首に何かが巻きついた。


「バカがっ!」


薫だ。

薫が鞭のような何かを私の右手首に巻き付けたんだ。


「玄!」


「あいよォ!」


玄が薫に向き合いそのまま薫を…。


投げた。


え。


薫が私とは逆方向に飛ばされる、鞭を持っているのは薫、鞭に巻き付いているのは私。


つまり、私が屋上に戻される。





「今度から屋上飛ばさないように…!いいな…?!」

薫にとても怒られた。

特に怒られたのは玄。

軽く殴られてるし。

それを止める青葉。


薫の怒りが鎮まった頃。

「ねぇ、何で組手してんの」

私は青葉に聞いてみた。

「あー…清龍は独立させられてしまったので国が守ってくれないんですよ。むしろ国が襲いに来るかもしれないし」


なるほど、だから自分たちを兵にするしかないのか。


いや、だとしてもさっきのたった2擊の戦いは国の兵を簡単に超えている。

余りにも…。


「強い…」


「いや、僕達3人以外なら兵を二人しか相手出来ません」


「その時点でもおかしいよ…。じゃあ、青葉達なら何人相手出来んのさ」


「ざっと15人が限界ですね」


「はあっ?」


呆れる強さだ。


「いや、僕達には土地神の加護が付いてるので特別です」


「加護…?」


「はい、分かるとは思いますがとある地域ごとに土地神がいますよね」


「まぁ…そうだな…」


確か永蓮も土地神だ。


「その土地神が選んだ人には加護と言って、能力が与えられるんです」


「え、そうなのか」


だとしたら永蓮は私に加護くれなかったのか。


「僕なら(スピード)、玄は(パワー)、薫は(テクニック)の能力が与えられてます」


「ただ問題はだな…」


薫が話に入ってきた。


「加護を貰う時に土地神に会わなきゃならんはずなんだが…私達は会ったことがないんだ」


もちろん、土地神に会えること自体無いことだ。

私が永蓮に会えたのも奇跡を1000回起こしてやっと会えるか会えないかだろう。

でも、この3人は加護を譲り受ける時にすら会えていない。


これは異常だ。


「なーにしてんのー??」


その時屋上に一人の少女が現れた。

年齢は10歳くらい。


「おーよく来たなー楼莉(るり)ーお姉ちゃんと遊びに来たのかー??」


薫が少女に抱きついてデレている。

薫がデレている…!!


「薫は楼莉が大好きなんですよ」


青葉が苦笑いで説明をくれた。


「だからあんな風になっちゃうんです…」


薫が楼莉を抱いてスキップしている。

見てはいけないような気がする。


「そうだ、雀さん、楼莉ちゃんと戦ってみます?」


「はっ?」


いや、こんな少女、いやむしろ幼女と戦えとか…。


「あの子、たぶん雀さんといい勝負だと思います」


そう言って青葉は楼莉を呼んだ。


「楼莉ちゃーん!このお姉さんと戦ってみないー?」


「たたかうー!!」


楼莉はそう言って薫の腕から抜け出し、走ってきた。


「このおねーさん、よわそーだから勝てるとおもうよ!」


マジかよ…コイツ喧嘩売ってきやがった。


「なぁ?」


ドスの効いた声で青葉に尋ねる。


「ん?どうしました雀さん?」


「本気でいいのか?」


「それでもいい勝負だと思いますよ?」


「やってやるよ…!」


楼莉はニコッと笑って拳を握った。



ども、土野絋です。

ひっさしぶりの更新です、はい。



いや、特に書くことない………。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ