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火蓋は切って落とされていた

こんちゃ。

眠いです。テストを一つ落としました。

ゲームがしたいです。

プリキュアも仮面ライダーも深夜アニメも全て見たいです。


テストを一つ落としました…。

この塔は相変わらず好きじゃない。

この街の規模にしては場所が目立ちすぎる。

「んん…」

「気が付きましたか」

「ここは…?」

目を閉じたまま彼女は僕に尋ねた。

首筋に汗が滴っている。

まだ少し気分が悪そうだ。


「清龍の中央塔の地下2階です」

「そうか…地下2階…ん?」

雀さんは少し薄目を開くと疑問の表情を浮かべた。

「縛られたか…」

彼女の両腕と両足は椅子に縛り付けられていた。

縛り付けたのは僕だ。

「拘束させてもらいました、しばらくは我慢してください」

「いや、しょうがない。構わないよ」

そう言っているが顔は不満気だ。

「拘束緩めましょうか?」

「いや、ダメでしょ…」

「あ、そうですね」

僕は何故か彼女を信頼している。

目の前の赤髪の少女は見たところまだ15歳くらいの少女だ。

そして、最初話した時の雰囲気。


たぶんこの子には人を殺して喰える精神の持ち主じゃない。


鬼自体、人ではないから精神がどうのこうのなんてふざけた話ではある。

でも、それでも。


彼女は危険じゃない。



「では、簡単な質問からしましょうか」

とりあえず尋問はしなくてはならない。

鬼だということは確かだ。

僕の勘なんて何の安心にもならない。


「まず、貴方は鬼ということで良いですか?」

「やっぱりバレてたんだね、合ってるよ」

大きく息を吸いこんで彼女は目を閉じ、ため息をついた。

「では、もう一つ。貴方は小さな男の子食べようとしましたか?」

「それは違う、誤解だよ」

「それなら何故紛らわしい真似を?」

「それは信じてもらえるかわかんないよ」

そう言って彼女は目を部屋の天井隅へ追いやる。

「それでも話してください」


しばらく天井隅を見つめていたが僕と目を合わせて言った。


「…見えるんだ」

「はい…?」

「私には病気が見えるんだ」

「……」

「ほらね、そういう顔をするでしょ?」

僕はどうやら疑う様な顔をしていたらしい。

「私は鬼になってからそういうモノが見えるようになった。まぁ当然なんだけど」

どうやら鬼特有の能力らしい。

僕自身、初めて鬼を見るからなんとも言えないが。


ん?


今、なんて言った?


鬼になってから(・・・・・・・)…?」

「ん?」

「まるで元人間みたいに…」


「私が?」

彼女はふっと笑って言った。


「私は元人間だよ」


「え?」

「鬼ってのは皆、元人間だよ」

「そんな…」

「で、私は病気が見える。人を食べるように見えるだけで、本当は人の病気を食べてるの」


既存の知識が覆されていくことにショックと同様を隠せない。

「人間からいつ鬼に…?」

「そうね…私はあの時8歳だったかな?」

「どうやって鬼に?」

未知へ踏み込むことに恐怖と麻薬のような欲が出る。

「死んだら分かる、なんてどこかのお話みたいだけどね。私は殺されて分かったよ、結局死ななきゃ分からない」

いっぺん…死んでみる…?なんて彼女は笑った。


少し気分が悪い。

知らないこと、覆されたことが沢山ありすぎる。

「本当に不死身なんですか?」

「150年間だけね、きっちり150年生きたらぽっくり逝っちゃうよ。それ以外は基本死なない、時間をかければ元に戻る」

痛みはあるけどね、と頬をさする。

薫に殴られたところがまだ痛むのだろう。

「うちの薫が手荒なことをしてしまってすみません」

「むしろ優しかった方だよ、鬼なんて分かったら、刃物でバッサリいかれてもおかしくないし」


少し気持ちと情報を整理したかった。

「少し席を外しますね」

「すぐ戻ってね、ここは少し怖い」

少し雀さんは顔を引きつらせて言った。

「私だって痛みも恐怖もあるんだよ」


本当ならダメだろう。

でも、どうしても彼女が悪い人には見えなかった。


「一緒に外に出ますか」

僕は微笑んで彼女に尋ねた。


そのとき、部屋のドアが勢いよく開いた。

「青葉さん!!この鬼に食われかけたガキが倒れました!!」


僕は懐からナイフを取り出し雀さんを拘束している縄を切った。


「来てください、あの子に病気が見えたんでしょう?」

彼女はぽかんとしていたが、笑った。


「お前、ヤバいやつだな」


「この街ではこれが普通です、それが清龍ですから」








途方もなく長い廊下を俺は部下と共に歩いていた。


前には兄さんがゆったりと歩いている。


麟之助(りんのすけ)、清龍の様子はどうだ」

その金髪の男はいつも笑っている。

「はい兄上、どうやら上手くいっているようです」

俺は兄さんが心底嫌いだ。

「そうか…最後はどうやるんだ?」

また笑った。

「街にネズミを放ちます」

「つまらん、盛大に燃やしてしまえば面白いのに…」

口元はやはり笑っている。

「それでは民の反感を少なからず買ってしまいます」

兄さんは俺の方に振り向いた。

「麟之助、お前はいつも優しいな。優し過ぎるくらいだ」

兄さんはため息をついた。

「好きにやれ」


そう言って兄さんは俺の行く道とは逆へ颯爽と歩いていった。

足音はとても冷たく、早い。


「そうだ麟之助、好きにやれとは言ったが」

俺は振り向いて兄さんを見た。

顔を見て背筋が凍る。


兄さんはいつも笑っている。

冷酷な眼でいつも笑っている。



「確実に清龍の奴らは皆殺しにしろよ?」



兄さんは笑っていた。

ども、土野絋です。

さて、今回もあんまりストーリーが動きませんね。

はよ進めろと、まぁ私も思ってはいるんですが。


初めてファンタジー書くんだもん許してよ。


それにテストを一つ落としたし…。


次回も新キャラ出ます。

2人の女性は言った。

「あら、またイカされたいの?」

「あんたも好きだねぇ…」

その二人は余りにも妖しくて、怪しくて。

まるで化かされて、馬鹿にされてるみたいだった。


次回

「“わこ”と“さり”」


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