胃が痛いです
クロエ視点
「まさか気づいていたとはな...」
「最初から、だそうですよ。私も話を持ちかけられたときは驚きましたが、何かにつけては小言をつけてくるのでまあ慣れました。ああ、王女殿下は私があなた方の手下だともわかっていたそうで」
「へえ、やはり僕らのミリーは他とは格が違うね」
「誰と比べているんですか貴方は」
「すりよってくるバカな令嬢共に決まっているだろう」
「流石は僕の半身」
「当然だ俺の半身」
侍女は頭が痛くなり、今だ眠っているミリアナへと目を向け、交渉を持ちかけられた時のことを思い出した。
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「では、殿下私はティーセットをもってきますね」
「私はカモミールね!」
「クロエは何にしますか?」
「わ、私もカモミールで」
「わかったわ」
パタパタとエマは忙しなくミリアナの部屋を出て行った。
「エマはダメね」
クロエは今なんて仰いました?殿下とすごくと言いたかったが、ボソッと呟いていたため
、確証がなかったのでとどめたが、次に出てきた言葉がすごかった。
「演技も下手、人脈もない、何より監視していることが視線でバレバレ」
もうやだこの兄妹。
なんでみんなこんなに色々隠してるの。
「今なんて仰いました?殿下」
ふっと後ろを振り向かれた時には遅かった。
「あら?クロエじゃない。私、何か言ってました?」
クロエの背筋に冷たいものが走った。
いつもと口調が全然違う。今までこんな話し方だった?
「どうかしたの?クロエ?
ああ、わたくしダメね。どうしても嫌なことがあるとかの話し方になってしまうわ」
ハア、と物憂げに溜め息をつく。
迫力が違う…
天真爛漫な姿は借り物?
だとしたら王妃様が侍女をつけると言った時の悲しんだあの姿もニセモノ?
そんなことってある?
生まれた時から猫を被れる?
この方は何者…?
今度は早く投稿できるよう頑張ります…