そんな…私…
あーーー
遅くなりました…
鮮やかに咲くバラ、青空の下で綺麗な弧を描いて吹き出している噴水、その隣にある休憩スペースで私たちは擬似ピクニックをしていた。
「この季節になるとここは綺麗ね!」
「そうですね。庭師が特に手をかけているそうですから」
エマはかなりの人脈があるらしく、どんなことでも知っている。
まあ、今来ているのは王宮の中庭であって綺麗なのは当然なのだが、私としてはまだまだだとは思っている。少し王宮の庭師は雑だ。
「わ、私これを聞いて直ぐにサンドイッチを用意したんです!3人で食べませんか!」
「うん!いい時間だし、お昼ご飯にしよ!」
「私も作って来ましたが、先に生のこちらから食べましょう」
そう言ってエマは水をコップに入れ、クロエは皿にサンドイッチを分けた。
「じゃあ、いただきます!」
「「いただきます」」
まず私は水を飲み、サンドイッチに手をつける。
さすがは王宮の侍女が作っただけあり、とてもいい味付けができている。
「クロエ、とても美味しいわ!
この具の色合いもいい!」
クロエは目を輝かせ、とても嬉しそうにしていた。
「ありがとうございます!」
3人とも食べ終わり、水を飲むと私は2人にいろいろな質問をしていた。
恋人はいるのかや、ここに勤めて何年ぐらいなのか。
なんだか、頭がクラクラして気分が悪くなってきましたわ…
水をもう少し…
「ミリアナ様?もしかしてご気分が悪いのでは?」
クロエが私に声をかける。
「ええ、少し水をちょうだい」
「エマ様、お願いしても?私は医師を呼んで参ります」
「わかったわ。なるべく早く」
「はい!」
クロエが走っていく。ああ、頭が痛い。
「…貴女が産まれなければ…!
あの方は私に目を向けてくださったのに!」
エマが何か言っているわ…
頭が痛くて聞こえない…
誰か早く…
「さようなら、ミリアナ様
楽しかったですよ」
意識が消えていく…
助けて、痛いよ
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「そこまでよ、エマ・クシェ・テンダネス令嬢」
はっ、と息を呑み恐る恐る後ろを振り向く
そこにはクロエとミリアナの兄殿下2人が立っていた。
「あ ああ殿下…」
「ふう、まあ知ってはいたけどこれじゃあミリーが悲しむねぇ」
「ああ、エマに懐いていたからな。かわいそうに」
嘆いているものの、楽しそうに笑って立っている2人が怖くて足がガクガクしているエマと平然としているクロエとで普段とは2人とも違うことが表れる。
「エマ嬢、もう少しで衛兵が数人来ます。大人しく捕まって下さい。もう証拠は腐るほどあります。主にミリアナ様から」
「「「はっ?」」」
「ミリアナ様から、ですよ。貴女がミリアナ様に殺意に似た感情を向けていたのをミリアナ様自身、感じておられたようですから」
「そ、んな…私はあの方に言われたから…」
「言い訳になりません。殿下方、ミリアナ様を運んで下さいませ。私は監視しておりますから」
「やはり、私たちの妹は賢いねぇ〜」
「ああ、自慢の妹になるな」
そう言い残し、彼らは去っていった。