俺は死んだ
「俺は相川 和樹2011年11月30日午後11時34分・・・俺は死んだ。」
第1章 「俺は死んだ」
俺の人生は普通そのものだった。普通の家族で普通の高校、大学、普通の会社に就職して早5年、俺は27才で正直人生に飽きていた。その日もいつもの仕事を終えいつもの時間、いつもの道をスクーターで帰っていた。暗い道、スクーターを走らせると向こうの林から何かがぼんやり光っているのが見えた。俺はこの時初めて幽霊を見たのだと思った。ここは交通事故が多発している場所で噂でよく霊が目撃される場所で近所では心霊スポットとして少しは知られていた。俺はドキドキしながらその光とすれ違うのを待っていた。どんどん距離が近くなり胸の鼓動が強くなる。そしてはっきり光の正体が目に映った。その正体は白いワンピースで髪の長いキレイな若い女性ですれ違う瞬間まるでスローモーションのように彼女の顔をはっきり見ることができた。彼女の肌は雪のように白く、目はくっきりと大きかった。ほんの数秒間僕は彼女しか目に入らなかった。
次の瞬間、すごい衝撃と同時に俺は宙に舞い上がった。地面に叩きつけられた。まだ自分に何が起こったのかわからなかった。ぼんやりする中で周りを見てようやく今の状況がわかった。どうやら正面からきているトラックに気づかず正面衝突をしたらしいトラックのおじさんが何か俺に呼びかけているが聞こえず、体はピクリとも動かない。
「俺は死ぬんだ・・・」意識が薄れる中でそう思った。だんだん感覚がなくなり何も感じなくなると体が浮き始めた。宙に浮いた体を動かし下を見るとそこには叫んでいるおじさんと血だらけの自分がいた
離れていく自分の体を見ながらあのぼんやり光る彼女を見つけた。彼女は浮いている僕を見つめてそのキレイな顔からは想像できないような不気味な笑みでニヤリと笑った。その時初めて俺は彼女によって殺されたのだとわかった。
<午後11時34分 相川 和樹 27才 事故のため死亡。>
第1章終わり
興味が持てたら続きも呼んでください。