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ぎゅっと握り締めたハチマキ。
視線の先にはそんなハチマキを大量に腕に引っ掛けて
一枚一枚メッセージと書いている姿。
どうしても一歩が踏み出せなくて
弱気なのはマイナスだとは重々承知しているけれど
それでも動けなかった
体育祭の日に使うハチマキ。
私の通う中学校にはいつからなのかは知らないけれど
当日に向けて友達同士でハチマキへメッセージを書き込む習慣がある。
もちろん当日、体育祭が終わってからもお疲れ様の意味を込めたメッセージを書いたりもするけれど。
私の白いハチマキもすでに色とりどりのペンでカラフルに染め上げられている。
そして私の視線の先にいるのは今年の西軍の団長。
みんなに頼まれたのだろう大量のハチマキを体育祭の開始前までの時間を利用して
一枚一枚メッセージを書いている。
きっとみんな同じ内容だとは思うけれど。
軽い気持ちでお願いをしにいけばいいなんてことくらい
ちゃんとわかっている
頭では。
だけど心が重い。