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最終章 未来で、もう一度

二年後。


王都は祝祭一色だった。


龍王城の庭園。


蒼と金の旗が風に揺れる。


今日は――


俺とゼルの結婚式。


十八歳。


学院も卒業した。


身分差?

もう誰も何も言わない。


俺は龍族公認の伴侶。


そして今は、王城の術式顧問。


対等に立ってる。


ゼルは正装の黒に金の刺繍。


相変わらず無駄に格好いい。


俺の手を取る。


「逃げないな?」


昔みたいに言う。


俺は笑う。


「逃げない」


もう怖くない。


幸せを選ぶって決めたから。


龍王の前で誓いを交わす。


魂の共鳴。


あの日と違う。


穏やかで、強い。


壊れない繋がり。


ゼルが額を寄せる。


「やっとだな」


「待たせたな」


キスは軽く。


でも確かに。


歓声が上がる。


龍も人も関係ない。


祝福だけ。


それから一年。


王城の一室。


夜。


ゼルが俺の腹に手を当てる。


大きな手。


震えてる。


「動いた」


嬉しそうに言う。


俺は笑う。


「さっきから」


七か月。


順調。


医官も太鼓判。


ゼルは過保護が悪化している。


でも嫌じゃない。


窓の外に星。


あの日と同じ月。


ふと。


柔らかい風が吹く。


懐かしい感覚。


ゼルが顔を上げる。


「……今」


「うん」


感じた。


あの、光みたいな気配。


温かい。


優しい。


胸の奥が満たされる。


腹の奥で、強く鼓動。


トクン。


はっきりと。


俺は目を閉じる。


涙が滲む。


「おかえり」


ゼルが息を呑む。


「名前は」


わかってる。


ずっと決めてた。


俺は微笑む。


「リオ」


夜空の星がひとつ、強く瞬いた気がした。


数か月後。


小さな泣き声が王城に響く。


金の瞳。


少しだけ蒼が混じった瞳。


俺に似た黒髪。


ゼルが抱き上げる。


不器用なくせに、すごく大事そうに。


「……小さいな」


声が震えてる。


俺はベッドから笑う。


「五歳よりはな」


ゼルが一瞬固まる。


そして小さく笑う。


「確かにな」


赤ん坊が目を開く。


まっすぐ、俺たちを見る。


その瞳が一瞬だけ――


いたずらっぽく細められた気がした。


風がふわりと揺れる。


聞こえた気がする。


「ちゃんと幸せになったね」


俺はそっと赤ん坊の額にキスをする。


「当たり前だろ」


ゼルが俺の肩を抱く。


三人で。


もう未来は怖くない。


不幸ルートは、消えた。


ここからは。


俺たちで作る未来。


何度でも。


何度でも、選ぶ。


幸せを。


最終章まで読んでくださり、ありがとうございます。


未来が消える瞬間――

あの無音の描写は、この物語の中でもとても大切な場面でした。


リオは“未来”そのものの象徴です。

だからこそ、彼が透けるということは、ユウの幸せが揺らぐことでもあります。


守られる未来と、自分で選ぶ未来。

その狭間でユウが出した答えは、きっと簡単なものではありません。


そして、強いはずの彼が崩れる姿もまた、

愛がどれほど深いかを物語っているのだと思います。


この話が、少しでも胸に残ってくれたなら嬉しいです。


ここまでお付き合いくださり、本当にありがとうございました。

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