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10/12

龍は傷より伴侶を気にする

襲撃の翌日。


学院は騒然としていた。


外部勢力壊滅。

黒幕の証拠押収。

龍族への正式抗議準備。


完全勝利。


でも――


「安静にしてろ」


俺はゼルの腕を押さえた。


半龍化の反動で魔力が不安定。


医務室のベッドに座る龍は不機嫌だ。


「軽い」


「軽くない」


即否定。


ゼルは俺の手首を掴む。


「お前が無事なら問題ない」


またそれだ。


「俺もだ」


言い返す。


「お前が傷つくのは嫌だ」


沈黙。


ゼルの瞳が揺れる。


次の瞬間、引き寄せられる。


抱き締められる。


強い。


「……怖かった」


低く漏れる声。


龍が。


怖かったと言った。


「お前がいなくなる未来が、一瞬見えた」


胸が締めつけられる。


リオが静かに呟く。


「未来、ほぼ確定で変わった」


俺はゼルの背に腕を回す。


「俺は隣にいる」


宣言。


ゼルが額を寄せる。


「伴侶だからな」


さらっと言うな。


でも甘い。


三日後。


龍王から正式通達が届く。


『伴侶認定を承認する』


学院中が再びざわつく。


実質、婚約内定。


まだ16歳。


だが王家公認。


ゼルは当然の顔。


「当然だ」


当然じゃない。


でも誇らしい。


そして動いたのは――


龍族内部。


「平民を認めるなど前代未聞!」


高位龍族の集会。


俺も同席。


圧が重い。


金、銀、黒。


強者だらけ。


ゼルが隣に立つ。


離れない。


一人の銀龍が言う。


「力を示せ」


来た。


俺は一歩前へ出る。


逃げない。


前世の理論。


学院首席の実力。


「模擬戦で」


会場がざわめく。


ゼルが止めようとする。


俺は小さく首を振る。


「隣に立つ」


宣言。


銀龍の魔力が放たれる。


重い。


だが。


解析。


流れを読む。


受け流す。


反転。


銀龍の足元に拘束陣が発動。


逆転。


会場が静まる。


ゼルが笑う。


誇らしげに。


「言っただろう」


金の瞳が光る。


「俺の伴侶だ」


龍族内部、完全沈黙。


反対派は黙る。


ざまあ確定。


その夜。


寮の部屋。


リオが壁にもたれている。


透けている。


ほぼ光。


「リオ」


近づく。


手を伸ばす。


指が、すり抜ける。


胸が凍る。


「ママ」


笑う。


「ここまで来た」


「まだ消えるな」


声が震える。


「あと少し」


小さく言う。


「最後の分岐残ってる」


「何だ」


リオが俺を見る。


優しい目。


「ママが、自分を幸せにしていいって認めること」


……は?


「龍選ぶの怖いでしょ」


図星。


俺はまだ、どこかで遠慮している。


身分差。


未来。


全部。


リオが小さく笑う。


「幸せ、逃げないで」


身体がさらに薄くなる。


月みたいに。


消えないでくれ。


まだ。


でも時間は近い。

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