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Ep0-0 プロローグ

 都会はダンジョンである。

 多くの人間が生まれ、生活を営み、そして死んでいく場所。

 個人が把握するにはあまりに広く、長く複雑な歴史を織りなし、積み重なって消えていく場所である。

 その隅々のすべてを知ることはできないのだ。

 地図がある?

 その通り。

 だが、その地図はいつ作られたものだろうか?

 都会の新陳代謝は速い。昨日までやっていた店が閉店していたり、去年まであった近所の家が更地になっていたり。毎日の乗降客が二百万人を超えるような世界有数のマンモス駅の駅ビルでさえ、気付けば取り壊されて消失し、次に気づいたときにはガラス張りの迷路のような高層商業施設群に生まれ変わっている。

 手元の情報端末に表示される最新地図でさえ、目の前の現実と違っていることなんてよくあることだ。

 SNSがある?

 その通り。

 だが、すべてを網羅している者がいるだろうか?

 日々一千万人を超える人間が働き、移動し、生活を営みながら、身の回りのちょっとした変化や面白かったこと、変わったこと、美味しかった料理や気に入ったお店の情報を垂れ流している。

 膨大な情報の海を泳ぐ現代人は、ツールを駆使して自らの興味を引く部分集合だけを抽出し咀嚼する。集めた情報のすぐ隣に、見たことも聞いたこともないものが紹介されていたとしても、それを知るすべはない。


 一個の人間に観測された世界ですら、すべてを把握することはできない。ましてや誰も目を向けていない地下街の隅、ネオンの明かりが断片的にしか照らさない繁華街の路地裏にひっそりと存在するもののことを知るすべなどない。

 都会は空間的時間的広がりを持つ多層構造の情報で構成されるダンジョンなのだ。


 だから明日、君の目の前に思ってもみなかった光景が現れたとしても不思議ではない。

 今日、いつもの道のいつもの角を曲がった先で、見たこともない物を見つけたとしても、それは君が知らなかっただけで、確かに実在するのだ。

 今、君の目の前に転がる半透明の欠片かけらを拾ってみよう。それはただの石ころかも知れない。でももしかすると、今まで見たことも聞いたこともない特徴を持った鉱石かもしれない。興味を持った君はその特徴について調べるだろう。その瞬間、今まで君が知らなかった世界とつながるのだ。

 そして、新たなダンジョンの扉が開く……。


 ***


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