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銀河の終わり
星が乱れた。突如巨大なミキサーにでもかけられたように、銀河じゅうの無数の星がいっせいに乱れて跳ね出した。乱れて跳ねて躍りまわり、互いに衝突してはあちこちで幾度も爆発し、ぐちゃぐちゃに混じり合ってとうとうすさまじく巨大な爆発を起こし、七色の花火のごとくちりぢりになって、無になった。
――その光景は、美しかった。
「ねえ父さん、もう終わり? これで終わり? この万華鏡、とっても綺麗だったのに」
巨大な神の子どもが、銀河を閉じ込めた万華鏡を手にぼやいてみせる。深い海色の巨きな瞳でのぞいても、今はもう宇宙の虚無が見えるだけ。父神は子どもの頭を優しくなぜて、こともなげに微笑ってみせた。
「ああ、これはもう終わりなんだ。そうがっかりするな、また新しい銀河を創ってやるよ」
(了)