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18.とある会議室にて

 どこかの建物の会議室。テーブルにとある3人の資料を並べる。

 セミロングの金髪を指先で撫でながら、椅子に座って資料を見つめ、黒いシャツドレスに締めていた白いネクタイを締め直す。

 会議室のドアがノックされ、彼女は入室を許可した。

 眺めていたリストの3人が入り、適当な座席に座る。

 水色のストレートヘアの吊り目な女。ガタイがいいが会話に難がある男。ボサボサな髪を整えない掴みどころのわからない男。この3名に今回は任務を与えることになる。

 資料を挟んだバインダーをアンルシアは、吊り目の女に投げて渡した。


「そこの写真の女を攫って規定の場所で待ってて。回収班をよこすから」


 吊り目の女はバインダーを開いて写真を確認する。

 映っていた女子高校生を見て不思議に思ったあと、添えられていた資料に一通り目を通す。自分なりに納得し、ボサボサ髪の男にバインダーを渡した。


「おいおいマリ、ただの女子高校生じゃん」

「ジェーン、あなた資料は最後まで見なさい」


 キリッとした吊り目でマリに指摘され、ボサボサな髪を掻きながらジェーンは仕方がなく最後まで読む。

 ターゲットの女子であるユノには保護魔法と守護魔法がかかっていると記載があり、その一文だけでただの子供ではないことがわかる。


「言っておくけど、その女子は生きた状態で引き渡して」


 アンルシアは3人から任務の話を向けられる前に、きつい口調で言い放ちそのまま部屋を出てしまった。

 部屋の扉が閉まってから1分ほど経ってから、ジェーンは話を切り出した。全員、アンルシアに話を聞かれたくないのだ。


「俺達にやり方は任せるってか。クソ、丸投げかよ」

「口を慎みなさい。ターゲットの資料があるだけマシよ」


 誘拐や殺しなどいろいろなことをさせられる。時には写真1枚だけ渡され「殺してこい」と言われることもある。実際行ってみたらすでに病死していたなんてことも不思議ではない。


「じゃあ、魔法を拳で叩き割って武力行使で誘拐すればいいだろ」


 今回、ターゲットの資料をしっかり作って渡してきた。だからこそ、マリはユノというターゲットに魔術をかけているものを呼び寄せる真似をすべきではないと考える。

 かかっている魔術が発動すると、魔術をかけた人物に異常事態が知られてしまうため穏便に済ませる必要が出てくる。


「あぁ...ううー」

「んだよボムお前もかよ」


 会話ができないなりにボムもジェーンに反対を表明する。


「大体、魔術師なんてフィジカルクソ野郎だろ。怯える必要があるのかね」


 魔術師は本を読み学び、魔術を極めようとする傾向にあるため身体能力が疎かになっていることが多い。一方で魔力を身体を強化することのみに力を入れると、魔術が何もできない人物になる。

 魔術師の利点は魔術による手数の多さ。対策無しで突っ込むと痛い目をみることになる。

 渡されたこの資料には肝心なことが抜けている。魔術師と“名もなき組織”の戦闘員がそばにいることは一切の記載がない。記載ミスではなく、意図的なミスである。

 アンルシアは会議室の中に聞き耳を立てながら微笑む。

 果たして、3人のうち誰が生きて帰れるだろうか。

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