今夜のこのパーティーをもってお前との婚約を破棄する!
よろしくおねがいします。
短いですか?
「今夜のこのパーティをもってお前との婚約を破棄する!お前はこの可愛いコトリをイジメていたそうではないか?」
「お受けしますわ。では、慰謝料ですが、最近発見された金山とアノーバ貿易港を。加えて金塊500グラムで構いませんわ」
私が王妃教育にかかった時間。まさにタイムイズマネー。こんなものかしら?
「っ了解した。父上には明日報告しよう」
「私が今言った慰謝料ですが、どうぞサインをお願いします。反故にされてはいけませんからね。何事も契約が大事です」
こうして私は王子のサインと慰謝料を手に入れた。
貿易港ですから、商売ができますね。関税を取れば、税金暮らしができます。
そもそも慰謝料の金山と金塊500グラムで生活できるのですが…。
「王子、私は王子妃になどなりたくありません。では、さようなら」
コトリさんはあっさりと王子の元を去った。王子は一人になり、翌日陛下にしこたま怒られ、殴られたりもした。
まぁ、ここまでは私とコトリさんの作戦です。‘王子から金を巻き上げる。’
私は政略婚約なので、王子にかけらも想いを寄せていませんでしたし、むしろあんな簡単に重要書類にサインをしてしまうような低能な王子は嫌です。生涯支えたくない!
コトリさんはというと、お金目当てで王子に近づいたわけで…。
作戦の事を話すと二つ返事で応えてくれた。よって慰謝料は半々になりますが、それでも多いくらい王子から巻き上げます。
なにしろこっちには王子のサイン入り契約書があるのですから、今更反故にはできません!させません!!
陛下から婚約破棄はなかったことに…ということを言われましたが、無理です。
陛下には、「無理」と返事をしました。
そうでしょう?簡単に浮気をするような男の元に嫁ぐことはできません。なおかつ簡単に重要書類にサインをするほどの能力の低さです。そのような殿方には心惹かれません。
陛下もそれをわかってか、強く言ってきませんでした。王子は勘当に近く、辺境の塔に幽閉されているそうです。僧院にでも入れて、BLの扉でも開けばいいのに…。
私はアノーバ貿易港と金塊250グラムを手にしました。コトリさんは金山と金塊250グラムです。金の価値が暴落しないといいんですけど…。
アノーバ貿易港より、隣国のカスト王国に行く予定。
婚約破棄された時点で実家には勘当された身なので、私は慰謝料と共に隣国へ。
実家に慰謝料は入りません。そのように書類に書きましたから。100%私とコトリさんのものです。
実家は慰謝料を少しでももらえると考えていたかもしれないですけど、甘いですね?あんな阿呆王子に嫁がせようとする実家には慰謝料をあげるものですか!フンっ!
隣国カストでは爵位のない平民からのスタートになります。
私には王妃教育による知識という武器があります。カストでは、特に爵位が問題ではない。と聞いています。身分が特に厳しいわけではないと。せいぜい、王族とその他。みたいな。貴族はかなり前に廃止されたようで、多くの人が自由に市を満喫しています。
やはりですね。この場合、身分は無くなっても貧富の差が生まれます。元貴族はお金があるので、わりと裕福な暮らしをしていますが、平民はそうでもないようです。
ここにつけこみましょう。貧しいに安く、裕福な人に高くものを売りつけるのです。
さぁ、商売開始です。
貧富の差がなく必要とするもの…排泄関係でしょうか?とりわけ赤子は自由がききませんね。
では、まず『紙オムツ』を売りましょう。
裕福な方には飛ぶように売れました。まぁ、使い捨てですし、洗う必要がないですからね。
貧しい方は思ったよりも売れません。市場調査が必要です。
ふむふむ。捨てる場所がないから、使い捨てよりも洗う方が便利がよいと。なるほど。
これは、オカシイですね。捨てる場所がない?それはもう上の人間の怠慢ですね。王家の人に奏上しましょう。
カスト王国には庶民の声を聞くための箱があると聞いてます。
そうは言っても、貧しい人々の識字率を王家はご存じなのでしょうか?
箱の中は確実に王家の人の目に触れるのでしょうか?途中で握りつぶされたりはしないでしょうか?
できれば直接話を遠いしたいものです。
私は門番に伝えた。
「私は元・隣国ドールの阿呆王子の婚約者、エレインと申します。王家の方にお目通りしたく思います」
あの阿呆王子を使うのか…なんか嫌だな。
「どうぞ、お入りください」
なんか入れた。
「貴殿の話は痛快だった。隣国ドールは風前の灯火と言ったところか?」
「一応慰謝料として貿易港を貰っている身としては潰れてもらっては困りますねー」
「いやいや、王国として潰れるのであって、国としては大丈夫ではないかと思う。軍の方がきな臭いと聞いている」
へぇ。私は貿易港が無事ならそれでいい。
「で、何用かな?」
「あのですね。貧民街の方はゴミ処理が進んでないようです。いっその事ゴミの日を作ってゴミ処理業者を作ってはいかがでしょうか?せっかくだから、作ったゴミ処理業者の社員はほぼ貧民街から雇用するといいかと思います。
それと、私が直接ここに来たのは、外に民の声を直接聞こうと箱を置いたのは立派ですが、この国の民の識字率はご存じでしょうか?確か、25%程です。多分裕福な方は識字出来るんでしょうね。箱に声を入れたくても文字が読めない・わからないでは文章が書けません。
全国民を対象とした学校を作っては?身分差を意識させるような行為には罰金を!というような学校を」
「ふーむ。なるほど。隣国ドールの王が婚約破棄をなかったことにしたがるのもわかる。有能だな」
「恐れ入ります」
「うむ、これほど有能な娘だ。是非我が国に嫁がないか?」
「それはお断りします。もうコリゴリなんですよ。宰相くらいならやりますけど?」
「では、その職務を頼む」
うーむ。この国の王妃ねぇ。面倒だなぁ。コリゴリだし?この国には確か同い年くらいの王子がいたはずだけど…。
「俺の事か?」
「口に出して廊下歩いてたんですか?」
「まるまると口に出していた(笑)」
うわっ王子。私の好みドストライク!頭が良ければ完璧なんだけど…。
「それは光栄だな」
「ふぇっ?また口に出しました?」
「まぁな。俺の頭脳かぁ。一応国営の学園首席だが…」
「王子だからってのもありますよ?わかりません。そーだなぁ。私が所有するアノーバ貿易港。そこでの収入を1か月でどれだけ上げられるかで決めましょう。わかりやすく数字も出ます。これから、秋の農作物が出回る時期ですし、どれだけ上げられるか楽しみですね」
1か月後、この王子は通常の3倍の数字をたたき出した。
「これでどうですか。俺は有能でしょうか?」
「頭脳もよく完璧です」
「コリゴリって言ってたけど、俺のところに嫁いでくれる?」
「あなたなら完璧です。喜んで!」
こうして私はカスト王国の王太子妃となった。
実家は知りません。勘当したのは向こうですから、関係ありません。
ドール王国の王は「王太子妃はコリゴリじゃないのか」と憤慨したそうだけど、阿呆に嫁ぐわけじゃないし、って阿呆と全く違う。私のタイプの男性に嫁ぐんだからいいじゃん!っていうか、自分大変なんじゃないの?と思った。
カストは王族だけ直系で続いているようで、私の子供…つまりサム(王子の名前♡)と私の子供が跡継ぎになるようです。
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