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仮面病

作者: 日本人

「ずっと一緒にいよう」


私、前園茜が彼、寺島一輝と出会ったのは雲一つない晴天の日だった。


私は、いつも学校が終わると学校と家の間にある神社によっていた。なぜ、そこの神社に行くのかと言うと特別な理由はない。

ただ、落ち着くのだ。私の両親は私が小学生の頃に事故で亡くなってしまい、私は親戚の叔母さんにお世話になることになった。

だが、仲が良い訳ではない。なので、一人になれるこの神社に行くのだ。


私は今日も放課後になりこの神社に向かう。

この神社は長野県木曽町にあるので、木曽神社と名付けられた。

木曽神社は稲荷神社や八幡神社のように全国各地にある訳でなく、この地域にしかない神社だ。木曽神社の祀っている神様は仮面様と言う。昔、この地域で流行った人格が変わる病気?みたいなものを払った人が亡くなった後、そのまま神様として祀られたらしい。


神社は山の中にあって、境内に行くには数百とある階段を登らないといけない。私はセミの鳴き声を聞きながら、所々苔が生えた階段を登る。

階段を登りきると、大きな鳥居、古びた社、人が座れるようになっている岩に座る男の子が視界に入った。


   (男の子!?)


普段誰もいない神社に人がいることに驚いたが、それよりも男の子の容姿に驚いてしまった。

彼は長いとも短いとも言えないような黒色の髪の毛で、容姿端麗な顔立ちをしている。それに、日の光が丁度彼のところにだけ差し、神様に選ばれた子。いや、神の子と言っても不思議じゃないほど私には彼が特別に見えた。


「ねぇ、君。この辺の子?」


彼は私の方を向き聞いてくる。

私は突然話かけられたことで、慌ててしまい


「ハウィ!」


噛んでしまった。私は恥ずかしさのあまり赤面する。

彼はにこりと笑い、近づいて来た。

彼は親切な想いで私が噛んだことをスルーしてくれているのだろうが、今の私からすれば笑われた方が幾分かマシだった。


「やっぱり、自然はいいよね。」


彼は背伸びをしながら言う。

私がもしかしてこの辺の子じゃないの?と、言おうとした時、下から女性の声でもう行くわよと彼を呼んでいる声が聞こえた。

彼はその声に分かったと答えると、私にじゃあ、また。と言って、声の方に向かって走って行った。


(また...?どういうことだろう。)


私のこの疑問は次の日に分かることになる。





次の日


教室のドアが開き、先生が入ってくる。


「今日は転校生を紹介するぞ。」


先生が言うと、教室中がわっと盛り上がる。


「イケメンな男の子がいいな」

「かわいい女の子だなきっと」

「面白い子がいい」


それぞれが想いを言い合う。


「静かにしろ!」


先生の大きな声で一旦は静かになるが、転校生が入ってくるとまた盛り上がった。

私も思わず声をもらす。なぜなら、転校生というのは昨日神社であった男の子だからだ。


「東京から引っ越して来ました。寺島一輝です。これからよろしくお願いします。」


(寺島一輝くんか...)


私は机に肘を付き顔を支えながらぼーっと黒板を眺める。

机がトントンっと鳴る。

私はびっくりして音がした方向を見る。一輝くんだ。


「君もこの学校だったんだね。しかも、隣の席。これからよろしくね。」

一輝くんはにっこりと笑う。


「こちらこそよろしく。」

私が返すと、それをみた先生が良くないことを考えたときの顔をした。


「茜。一輝くんと知り合いなのか。じゃあ、学校の紹介とか学校のルールとかを教えるの頼んだぞ。」


私は、断ろうとするが先生は断ろうとする私を無視して黒板に戻ってしまった。


私はふと周りに目を向けた。

クラスの一軍女子たちが私の事を睨みながら、こそこそと話していた。

話は聞こえなかったが、言っていることは大体予想がつく。

きっと私がイケメンな一輝くんと喋っていることに対して文句を言っているのだろう。


私が強くて自分に自信があったら何睨んでるんだよと、言えたかもしれないが、私は友達が一人もいない陰キャなので何も言えない。

私は視線を下に落とす。


これはこれから起きる出来事の始まりに過ぎなかった。

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