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告白

 読んで戴けたら嬉しいです。(o´Д`o)ノ゛

 お姫様抱っこから解放されたのは、ボクの住んでいるアパートの部屋の前。


 彼女の走る振動で身体が揺れていたので、立ってもまだ揺れている様な錯覚に捕らわれていた。


 彼女が直ぐにも行こうとする。


「待って!

 そんな格好じゃ人に紛れる事も出来ないじゃないか、何か着るもの貸すから、取り敢えず家に入って」


 彼女は自分の身なりを見ると今更腕で胸を隠した。


 でも顔は表情一つ変えなくて、やっぱりアンドロイドなんだなって思う。


 開けろと言うと声紋に反応してドアが開いた。


 女神が問うようにボクを見たのでボクは首を傾げて中へ入るように促した。


 彼女は部屋に上がりながら言った。


「インプラントしてないんだな」


「アンドロイドの反乱で人間はAIを恐れるようになったんだ

 だからテクノロジー的な物はあれからそれ程進化していない

 こうした小さなAIの導入はつい十年くらい前からだよ

 アンドロイドは未だに解禁になってないんだ」


 彼女は一通り部屋を見回して振り返り言った。


「とにかく、急いでこの街から離れる必要がある」


「その前にお風呂入った方がいいよ

 あのカプセルに入っていた液体の匂い凄いもん」


「急がなければ、奴らがいつ嗅ぎ付けて来るやもしれぬ」


 ボクと彼女の接点を示すものは無い。


 時々、あの公園に行ってしばらく居るだけだから接点なんて在る筈もない。


 どんな奴らなのかは解らないが直ぐにここへ辿り着くことはできない気がした。


 ボクは思い付いた不安を口にする。


「この匂いで嗅ぎ付けて来るかも」


 女神は自分の腕や胸のあたりをくんくん嗅いだ。


「確かにこの匂いは残り香が強そうだ」


 ボクがバスルームを差し示して促すと女神は大人しく風呂場に入って行った。


 シャワーの音が聞こえ始めるとボクはクローゼットを引っ掻き回して彼女に合いそうな服を見繕って脱衣場に置いた。


「着替え、置いておくから! 」


 と声を掛けると、「かたじけない」と返事が返って来た。


 どうして武士口調なのか未だに笑える。


 ボクはコーヒーを落としながら、ウキウキした気持ちを落ち着かせようと深呼吸したり身体を伸ばしたりした。


 それにしても五十年間停止状態にあった彼女は何故今、目覚めたのだろう。


 彼女が目覚める前に取り囲んでいたのは月の光·········。


 多分···········。


 何者かが彼女の能力を手に入れようとしている。


 そいつらは何者なのか。


 なんの目的の為に彼女を狙っているのか。


 まさか彼女の能力で地球を滅亡させるのが目的だとは思えない。


 ボクはそんな事を考えながら、リュックを引っ張り出し手当たり次第の物を詰めていた。


 女神が風呂場から髪をタオルで拭きながら出て来た。


 Tシャツにジーンズ姿の女神がそこに居るのは、なんだか不思議だった。


 女神の表情がさっきより心持ち和らいだやうに見える。


 ボクはのんきに思う。


『いいなあ、好きな人に自分のTシャツ着て貰えるって、男のロマンだよなあ····』


 顔が緩みそうになるのを必死でこらえて、ボクは彼女にコーヒーを渡しながら言った。


「ねえ、聞かせて

 アナタは五十年間も停止していたのに、何故今目覚めたの?

 ボクには月がアナタを目覚めさせたように見えたけど

 そしてアナタを狙っているのは何者? 」


 彼女はコーヒーを手に持ち突っ立ったまま答えた。


「ある組織がソレガシを狙っているのだ

 その組織は五十年前、AIの反乱を起こしたハッカー集団だ

 彼等は、今度はソレガシを利用してこの世界を牛耳ろうと考えているようだ


 月には地球を観察している住人が居る

 月の住人はそれを阻止する為にソレガシを目覚めさせた」


 ボクはあまりにも非現実的な話に目を白黒させた。


「月の住人って、それってただの都市伝説じゃないの? 」


「信じたく無ければそれでも良い

 とにかくソレガシはオヌシの問いに答えた」


 彼女はコーヒーカップをテーブルに置くと部屋を出て行こうとした。


「待って!

 ボクも行く! 」


 ボクはリュックを掴んで立ち上がった。


 彼女は驚いたような顔をして振り返る。


 十年間恋焦がれた人がやっと目覚めたのに直ぐにさよならだなんて、この機会を逃したらもう二度と彼女に逢えない気がする。


 ボクはこの残された時間を、彼女を守る事に捧げると決めていた。


 この意志は誰にも変える事はできない。


 ボクは眼球に力を込め本気な事を彼女に示した。


 彼女は直ぐに無表情に戻り平坦な口調で言った。


「足手まといだ」


 そんなきっぱりと身も蓋も無い事を··········。


 はっきり言ってメゲタ。


 が、直ぐに気を取り直して思い切って言った。


「ずっとアナタが好きだったんだ! 」


 い、言ってしまった············。


 十年間秘めていたボクの想いを·········。


「奇跡が起きたんだ

 目覚める事が無いと思っていたアナタが目覚めた

 ボクにはもう時間が残されていない

 残された時間を、アナタを守ることに費やしたい」


 ボクは、少しの間放心状態になった。

 






 読んで戴き有り難うございます。m(_ _)m


 最近またお気に入りのバンド見付けました。

 ドラッグミーアウトと云うバンドなのですが、娘に聴かせたらバッドオーメンズに似てるね、と言われました。

 確かに似てるんですけど、ドラッグミーアウトの方が音は洗練されてる感じです。

 でもバッドオーメンズの様な強烈なインパクトは無いんですよね。

 バッドオーメンズの方がメロディーの美しさは抜群で、解りやすいんです。

 驚いた事にドラッグミーアウトはバッドオーメンズと同じスメリアンレコーズという会社の三年後輩でした。


 

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― 新着の感想 ―
[一言] なんだかいいなぁ…。月夜の下、アンドロイドに恋に落ちる…結構好きです…!
2022/12/20 19:01 退会済み
管理
[一言] 僕の思いが女神さまに届くのかワクワクですね°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
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