お気になさらず
読んで戴けたら嬉しいです。
公園の街灯がゆっくり点滅している。
多分彼女の仕業だろう。
いったい彼女の能力って·········。
ボクがあんまりまごまごしているから、彼女は痺れを切らして眉をしかめた。
「急がねば奴らが来てしまう!
早くここから立ち去らなければ! 」
「わ、解った」
カプセルの透明な壁に翳した彼女の手にボクの手を壁越しに合わせた。
彼女が静かに目を閉じると次の瞬間、物凄い勢いでカプセルの透明な壁が飛び散った。
カプセルの欠片は何故かボクを避けていたように思う。
ひとつの欠片もボクにはぶつからなかったからだ。
その代わり彼女を包んでいた透明な液体が溢れだしボクを襲った。
その勢いで、ボクの身体は意思を無視して後ろに押されしりもちをついて一回転した。
「ひでえ·············」
服も髪もべちゃべちゃで、なんだか不思議な匂いがした。
何処かで嗅いだ花のような匂いだが思い出せない。
ボクは服の裾を絞り、液体を切るのに手を振った。
彼女を見ると不思議そうに辺りを見回している。
濡れた髪を掻き上げボクを見る。
白い布が明らかに彼女の身体を覆うには面積が足りてなくて、それにぴったりと濡れた布が肌に貼り付いていて、目のやり場に困る。
ボクの脳裏にラッキースケベと云うワードが嫌みのように点滅する。
ボクは慌てて彼女から顔を背けた。
本当はとても綺麗でドラクロワの女神みたいで惹き付けられた。
でもここは礼儀ある男として見てはいけないと思う。
「何を怒っておる? 」
女神は無防備過ぎる。
ボクに近付いて顔を覗き込んで来た。
「お、怒ってる訳では無くて············」
「いけない!
奴らが来る! 」
女神は突然、へたり込んでいるボクを抱き上げたかと思うと駆け出した。
『ちょ、ちょっとお!
当たってる、当たってるう!
おっぱい、おっぱいーーーっ!!
生で当たってるんですけどおーーーーっ!! 』
不可抗力なので、後で痴漢なんて言わないで欲しいものだ。
そんな事お構い無しで、女神はがっちりボクを抱き締めて広い公園を南に向かって駆けて行く。
この図はなんなのだろう?
今年十七歳のびしょ濡れの男を白い布を身体に巻き付けたびしょ濡れの美女がお姫様抱っこして走るこの光景は。
真夜中で本当に良かったと取り敢えず、そこだけはホッとしている。
彼女が猥褻物陳列罪で手が後ろに回ることはなさそうだ。
痴漢の男と猥褻物陳列罪の女の図って···········。
目を硬く瞑って、彼女の首にしがみつくボクを見て彼女は言う。
「どうしたのだ?
顔が真っ赤だ
熱でもあるのか? 」
『いや、顔が近いし、胸が当たっているんです
なんて、いえるかあーーーっ!! 』
ボクは力無く答えた。
「いえ、お気になさらず···········」
「オヌシの家は何処か? 」
走りながら彼女が言う。
「オヌシを送り届けねば
どうやってオヌシの家に行くか解らない
ナビゲーションして欲しい」
送り届けるって、ボクは何処の乙女ですか。
女神、男前過ぎ!
ボクは通り過ぎて行く、景色に神経を集中させた。
読んで戴き有り難うございます❗(人´▽`*)♪
明日から雪が降り通し、何処かの街では五十センチも積もるそうです。
いよいよ本格的な冬到来です。
最近ハムサンドの美味しさにはまっていまして、色んな処のハムサンド食べたりしてるのです。
昔は全く食べたいと思わなかったんですけどね。
ハムサンドって、ハズレが無いと思うのですよ。
何処のハムサンドもソコソコ美味しいですもんね。
私は、一番美味しいのはセイコーマートのハムサンドでした。