表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
内政チートな男爵令嬢の成り上がり  作者: 中城セイ
第1章 6歳の覚醒
3/14

第2話 エリザ

 私はエリザ。コーサス商会会長テスタロッサ・コーサスの6人の娘の三女です。母は元々父が起こしたコーサス商会を裏で牛耳っ――――支えていました。実際、父・フレッドの得意分野は輸送――――旅商人をしていた時から、商隊を率いることを得意としていますから。父が遠征から帰らなくなったのは私が7歳の時でした。事故だったらしいです。その後、商会は大変でした。トップがいなくなったからですね。ですが、裏で牛耳っ――――支えていた母が表に出たところ、すぐ収まりました。まあ実際、商会を仕切っていたのは母だったので、元の状態になっただけでしたね。まあ、その時いた私の2人の姉は母の手伝いをし、3人の妹は、私が面倒を見ていました。3年経つと商会は大きくなりました。裏で支えるだけだった母が前に出てその敏腕を発揮したからですね。いくつかの商会を吸収したコーサス商会はヴァルクハイン男爵領の中である程度の地盤を持つことになります。そして母から話がありました。


「よく来ましたエリザ。そこに座りなさい。」

「はい、お母さん。」


 母の執務室のソファーに座ると、その向かい側に母も座ります。


「お母さん、何の用?」

「エリザ、あなたにやって貰いたいことがあるの。」

「私に?」

「エリザじゃないと困るの。というか、うちの中だとエリザしか適当な人材がないのよ。」

「ふーん、で、何?私にさせたい事って?」

「あなた、メイドになりなさい。」

「はいっ?」

「メイドになりなさい。」

「いや、何でメイド?」


 唐突にも程がある。


「ほら、ユリアも5歳なって手が掛からなくなったし、商会も大きくなってメイドも雇えるようになって、今まで家事をすべて任せてしまってたエリザの仕事もメイドに任せられるようになったじゃない。だからここで商会としてもあなたとしてもステップアップのために本格的にメイドをやってみない?と思ったのよ。」

「商会としても……ね。」


 実はその時、あまり気乗りがしてなかった。それは私にはやってみたいことがあったから。


「実はね、今度男爵家でメイドの募集があるの。何でも男爵様の末娘が大きくなってきたのでお付きメイドが必要になったらしいの。育児経験がある若い娘を募集して専属メイドとして育てるみたいね。そして、実際にはこっちの方が重要なんだけど……男爵家の次男、レイサム様は、エリザと同じ10歳なのよ。もし見初められて妾でもいいから結婚できれば、コーサス商会は安泰になるわ。もしレイサム様が男爵を継がなくても、コーサス商会の会長になってもらえるわ。」

「……お母さん。」

「大丈夫よ、レイサム様が会長になっても、あなたとの子を次代の会長にすればフレッドの血縁がこのコーサス商会の看板になるわ。心配しないでいいわよ。」


 そんなことは思ってないんだけど……。まあ、お母さんがこういった暴走するのはわかっていたし、それにメイドになっても不適格なら実家に帰されるだろうから、その時、改めて夢を追っかけてもいいんじゃないかなって思うことにした。


「わかった、私メイドになってみる。」

「本当!」

「ただし、メイドになれなくて帰ってきたら好きに生きるからね。それが条件。」

「いいわ、やって来なさい!」


 そして私は母とガッチリ握手した。



 募集を受けて男爵家に行くと、見事に最年少だった。更に集まった8人の内、5人が子爵令嬢だった。内訳は10歳:1人、13~15歳:5人、20代:2人――――。うん、どう考えても令嬢方は長男のウォルフガンフ様目当てね。

 1ヶ月経つと、残ったのは私1人だった。――――何でよ!!

 まず10日で6人が居なくなった。まず最初に庶民から来た娘が令嬢方のいじめで辞めた。令嬢方はミルフィーネ様を泣かせたり、料理洗濯掃除など、メイド必須のスキルが下手すぎてクビになった。残った一人は――――()()()()()。どうやら恋人との最後の会瀬で授かったみたいだ。避妊しとけよ!

 私の方は、元々妹たちの面倒を見ていたので子供の扱いに慣れていたこと、一時期家庭のすべてを1人でこなしていた為一通りの事が出来ること、商会の娘なのでドレスやアクセサリーにも気が回る事で、あっさり男爵家の信用を得てしまった。更には、直接男爵様から「娘の事をよろしく頼む」と言われてしまった。どこまで行くんだ、私。


 その後、私は月2回の休日を除いてお嬢様のお世話をして4年経ったある日。まさか、お嬢様からあんなことを持ちかけられるとは……。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ