出会い
今日は中学校の入学式。白石ひかりはある事情で、東京からこの京都引っ越して来たので、友達は誰もいない。だから、楽しみにしていた。
ひかりが通う学校は、町で1番大きい、設備も充実している公立中学校である。ひかりの新しい家からは、歩いて5分ほどだ。周りには結構な人が学校に着いていた。
「ここが、私が通う学校…大きすぎない?!」
そう呟くと、隣から声が聞こえた。
「ほんとにそう思うよね!私もびっくりだよ。」
「え?」
「あ、ごめんごめん、隣から声が聞こえたからつい。」
「えっと、あなたは…?」
ひかりがたずねると、隣の女の子は
「あ、私は宮野葵。葵って呼んで!あなたは?」
「私は、白石ひかり。私のこともひかりって呼んで!私、東京から引っ越してきたから友達とかいないの。だから、友達になってくれると、とっても嬉しいな!」
「もちろん!よろしく、ひかり!」
「ありがとう、こちらこそ、葵!」
二人はすぐに仲良くなった。
「ねえ、早くクラス見に行こうよ!」
「そうだね!葵と同じクラスがいいな!」
ひかりと葵は、クラスが貼ってある下駄箱に行った。
「あ、やった!ひかりと同じクラスだよ!」
「え、どこどこ!」
「ほら、2組だよ!」
「ほんとだ!やった!」
「じゃ、教室行ってみよ!」
「うん!」
そうして、二人は教室に向かった。教室は、とても賑やかだった。
「みんな、結構来てるんだね」
葵が言った。
「そういえば、葵は、地元の子だよね?友達とかいないの?」
「いやー、それがいないんだよねー。」
「え?な、なんかごめん」
「いや、ひかりが謝らないでよ!私がいろんな子と話してたから一人ってわけじゃないんだよ!ただ、ずっと一緒にいたっていう子がいないだけなんだよねー。」
「なら、よかった…のかな?まあ、でもこれからは私と一緒にいようね!」
「もちろんだよ!あ、じゃあ、ひかりは?東京に友達いっぱいいるの?」
葵がそう聞くと、気まずそうな顔をした。だが、葵はそれに気づいていなかった。
「え、えーっと、いたのはいたんだけど…ちょっと喧嘩しちゃって、それきり会っていないんだよね…。」
「えぇー!そんなのないよー!ちゃんと仲直りしないと!」
「まぁ、多分もう会うこともなさそうだしねー」
「いやいや、人っていつどこで再会するかわからないんだからねー。」
「そういうものかな?」
「そうだよ!あ、てかもうそろそろ入学式始まるよ!早く席に座らないと!」
「そうだね!ええっと、私の席はここだね!」
「あ、私はこっちだ。結構離れるじゃん!」
「そうだね。でも、同じクラスだからいいけどね。」
「たしかに!じゃあ、席に着くね。」
「うん」
(人はいつどこで再会するかわからない、か…。あの子には絶対に会いたくないな…。)
―――
入学式が終わり、クラスは解散となった。
ひかりと葵は校門まで来た。
「ねえ、ひかりってどっち方面?」
「私はこっち!」
「えー、私はこっちだよー。ひかりと反対だね。」
「そうだね。じゃあ、校門で、待ち合わせて教室まで一緒に行こうよ!」
「いいよ!じゃあ、8時にここでね!また明日!」
「うん!また明日!」
そうして、二人は家に帰った。




