5/40
5
西日を浴びて
黄色く染まる蔵通り
土色覗く剥がれた壁の稲妻模様
巧みに模した無造作の
石のブロックの川べりは
あちこち淀んで留まる蛇腹模様
きれいに整頓された折詰の町は
上品にしずしずと朽ちていました
人の出入りの少なさに
町屋造りのガラス戸は
歪に隙間を開けたまま白く濁って
最後に引かれた日の遠いことを
もやの中に映すばかりでした
もうすぐ誰もいなくなってしまうの
とおばさんは言いました
悲しいね
と私は言いました
人の手入れのなくなった里山は
長い蔦を伸ばしてうねうねと
塀を越え
屋根を覆い
町を絡めとっていくのでした
ひりひりと顔を照らす日差しが痛くて
私は一度ぎゅっと目をつむりました
おばさんは蔦の一本に指を絡めて
くるくると指先で遊びながら
早く消えてしまうといいのにね
と言いました
私はもう一度ぎゅっと目をつむりました




