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呼応  作者: はじめ
37/40

37

キアゲハがふらふらと、がくがくと空中を暴れている

あれで飛んでいるだなんて信じられない

苦しいとも楽しいともわからないが

大変そうには見える

人差し指を差し出したらとまるのかしら

そんなことを考えつつ

もうずっと

ゆるく握った拳のまま目で追っている


珍しく湿気の少ない風が吹いて

何かの植物らしき綿毛が目の前を過ぎていく

たんぽぽよりずっと大きい綿毛が

二つ、三つ

綿毛の来た方へ目を向けると

綿毛の成った何かの植物が生えていた

整地された茶色い空き地の

ブロック塀のすぐそばに

一本きりで

白い綿毛を一つ、また一つと

風に飛ばしていた


何かを出す前から既に出涸らしの心身で生きてきたが

死にたいか死にたくないかには答えられないが

消えたいか消えたいくないかには即答できる

それはなかなか上等なことではないかと思うようになった今日このごろ

世界は異星人だらけだけども

どこも痛くないならそれでいい

そうやっていつも寛解していたい


駅のホームから見下ろす大きな三角屋根に

あれは何の建物かと

あれはなんとかという寺で

あの屋根より高いこんもりした緑の木は

あれで実は桜の木で

春にはあの緑がみんな桃色になるんですよと

聞かれる予定もないのに

答えを用意する

聞かれて答えたわけでもないのに

なにか少し得意になる


腕にさわさわとこそばゆい感触がして

見れば一匹のクロアリが

私の肘をうろついている

アリの6本ある脚が

かわるがわる皮膚を叩いて

腕にこそばゆい足跡をつけていく

アリは肘から二の腕へ、二の腕から肩へ

するすると登ってくるので

慌てて指で通せんぼを作った

アリは目の前に現れた堰の前で立ち止まり

触覚を忙しなく動かして

前脚で堰を二度三度つついてみてから

迂回するでもなく

素直に目の前の堰に登った

指の頂で右往左往するアリを

玄関まで運び

デコピンをする要領で

外にほうった


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