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呼応  作者: はじめ
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ちくちく

伸びてくる襟足がうるさいから

あまり髪は伸ばさないほうがいい

それを忘れてまた伸ばしてしまった

次はちゃんと短く切らなければ

ちくちく


蛍石とはよくいったものですと

ペンの形をしたライトでもって

紫外線を当てながらしみじみ

あ さめざめ

おや しげしげ

眺めてふつふつ

内からじわじわ

青み光りにじむ石の角はとんがっている

普段は乳白がかった緑色をしています


恨み言しか出ませんよこう暑いとね

虫だけは秋っぽく鳴いてますけどね

毎朝四時に鳴いてた蝉は

ここ最近は聞かれなくなりましたよ


地元の海は茶色くてね

港に工場があるから茶色いのか

元々そこへんの海は茶色いのか

わからしませんけども

砂浜は黒ずんで足裏で踏むとヒヤッとしましたし

磁石なんかで撫ぜると砂鉄がよく採れますんで

黒とか茶色とかなんかそういう海なんでしょうね


くそほど嫌いな地元でしたけど

そういうところはなんぜか時々思い出されます

通学路は住宅地の中の線路沿いの道で

柵もない線路のわきを歩いておりました

家と学校の間の十分もない道ですが

赤錆とオイルのにおいのする道で

今もよく思い出されます

どこへも辿り着かずに通学路だけ

行ったり来たりしてたいものです


大人になって転ぶと悲しい

ざんざ降りの雨でうっかり

あの道の端に嵌めてある

ナナメの金属板を踏んでしまったもんで

まんまと滑って水たまりにひっくり返った

尻を打って痛いし手の平と腕も打ちつけた

あと数年してこんな転び方をしたら鎖骨あたりを折るだろう

大人になって転ぶと妙に悲しい

泥水が染みて服も傘も雨にひたひた

それでもざんざざんざと雨は降ってくる

有難いことにひどい有様すぎると面白くもなるものです

うふっと吹き出しても傘があるので見えないでしょう

いーたーいーと騒いでも雨がうるさいので聞こえないでしょう

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