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雨の日は風に乗ってやってくる
発酵しきった海のもののにおい
二十分も歩けば見えてくる
晴天に
白煙吹く鉄の骨の一つの塊
ごうごう唸ってじっとして
さも動いていないようでいて
内側は人とは別の血液が渦巻いている
紙を作っているのだと聞いてはいるが
金網の
塀の外からどれだけ眺めていても
張り巡らされたパイプにも
密に入り組む骨組みにも
うすへらい紙のしなやかさの気配は無くて
にわかには信じられない無骨さで
貨物の背骨の列車が通る
白煙の行く先を眺める視界の中へ
がたがたとどこからかやっくる
列車は金網の向こうで
白煙上す塔のたもとへ収まって
一列と二列と
同じ貨物の背骨を並べゆく
カモメがなぁなぁ言って
振り返れば
銀のサイロが空を遮る
ちゃぷちゃぷと
港に寄せる波は控えめに
見上げるほどの船を浮かばせる
深く考えてはいけませんと声がする
見つめ続けてはいけないと胸が騒ぐ
朝を避けてただ夜を待つ
責める者もないのに
にわかには消せない罪悪感を浮かばせる
夜は名月よりも輝く橙の光の
首の長い
長い長い常夜灯
闇に浮かんだ片側二車線
どこまでも橙に沈む夜
夏の緑も冬の白雪も
ここでは夜に敵わない
ここでの夜に敵わない




