4 『ランク1:水神龍』
私は小さい人間ですか?
世の中の厳しさが私を小さく見せているだけです
たぶん………
第4話お楽しみください
僕は、今晩から寝泊りする部屋に通され、
一人掛けのソファに腰を下ろして、一息ついた。
そして、気付いた。
「そういえば、無一文だ」
金が無い人生は、人を小さくする。
小さい人には、世の中が小さく見え、
小さい世の中で、生きていくことは、
永遠の奴隷を意味する。
これは、あくまで、僕の持論であって、
自己効力感を高める言葉であり、
自己実現をするための性善説である。
というわけで、僕にとってのポーション
的役割である『お金』を得ようと思う。
(「おーい、シャッフル。この時代の金は、どうやって
手に入れるんだ?これじゃ、宿代すら払えないぞ」)
(『さっきオープスのランクの話をしただろ。ランク4
のオープスを手に入れれば良い』)
オープスを手に入れるったってどうやって………
と、その時だった。
ウ―――!ウ―――!ウ―――!
「な、なんだなんだ!」
突如鳴り響く、サイレンのような音。
「館内アナウンス。館内アナウンス。
ただいま、オープスランク1:水神龍が通過中です。
危険ですので、外出を控えてください」
水神龍?ランク1だと!?
(『今日は、本当に空気の読めるやつらが多くて
助かるな』)
シャッフルが嬉しそうに語る。
(『全てのオープスは、ランク1が生成する。
つまり、やつが通過中に降る雨にオープス
が混じって落下してくるぞ』)
(「そーなの?なんか意外とぬるゲーか?」)
僕は、窓を開け、外に飛び出す。
大好きな金のために!
地面に着地したと同時に、月明りが遮られ、
夜に更なる闇が訪れた。
空を見上げると、
「う、うぁぁぁ。でけぇ。
あれが、ランク1のオープスか。
つーか、あれは生物………」
(『ランク1:水神龍 オープス生成 世界の力:水
ランク1に相当するオープスは総じて生物の姿だ』)
シャッフルの説明する声が頭に響いた。
そして、呆気にとられる僕の鼻先に、
雨が当たるのを感じた瞬間。
25mプールをひっくり返したような量の水が
頭上に落ちてきた。
身体強化されている僕でも、ずっしりと重みを感じ
息苦しさも感じる。そして、地面に貼り付けにされ
たかと思うと、そのまま数100m流された。
「ぶはぁー!死ぬかと思ったー!」
水神龍がとてつもなく大きいのもそうだが、
やつが、放出する雨は、もはや僕の知るそれでは
ない。
「コレ、災害レベルだぞ」
頭上から津波が襲ってきたような
そんな感覚。
「冗談じゃねー。こんな中、オープス拾いなんて
できるかー!」
僕は、一目散に宿に逃げ込んだ。
(『なんだ?引き下がるのか?』)
(「おいッ!シャッフル!お前、『雨』って
言ったよな。アレのどこが雨なんだ!
あんな津波みたいのが来てる中、オープス
拾いなんてできるかー!」)
(『金はいらんのか?』)
(「いやいやいや!命あっての金だ。死んだら、
いくら金があっても使えないだろ」)
(『やれやれ。しょうがない。では、オープスを
使用しろ。「リード」の掛け声で発現する』)
(「発現ってさっきから既に身体強化しているだろ」)
(『それは、このオープスの自動発動スキルに過ぎない。
こいつの能力の方を使うんだ』)
???
(「ちょっと待て。じゃあ、このオープスの力は、
まだ未使用だったってわけか?」)
(『そういうことだ。ほらっやってみろ』)
(「シャッフル。お前は本当にいつもいつも。
大事なことは早く言えよ!」)
「リード!」
宝石が光出した。
読んでいただきありがとうございます。