第5話・どんなに計測しても竜王級になるんですがそれは
「りゅ、竜王級!? ありえないって! 計測バグかなにかじゃ!?」
三脚のタブレットに駆け寄るミライ。
大英雄であるマスターも驚愕した様子だった。
「いやはやまさか、驚かされたねこりゃ」
マスターまでお手上げのポーズ。
そもそも、魔導士にはいくつかランクがある。
最下層から、
––––––––––––
ヒューマン級
↓
メイジ級
↓
ワイバーン級
↓
エルフ王級
↓
魔人級
↓
そして……『竜王級』。
––––––––––––
あの大賢者の娘であるミリアでさえ、俺のエンチャント付きで『魔人級』と判定されていたはずだ。
そもそも、竜王級なんてものは……。
「数百年誰も現れないから形骸化してしまい、魔導省が抹消しようとすら言ってる『竜王級』。君がそうだったとはね」
「いや絶対ありえないです! ミライの言う通り計測ミスなんじゃ」
「ふむ、ではさらに続けて計測すればミスの線は消えるな。ミライちゃん、ロッカーから”あれ“取って」
マスターが腕を振ると、何もない空間から木製ロッカーが現れた。
バン! と勢いよく開けられ、中からそれは引っ張りだされる。
「ほいアルス、重いから気をつけて」
は? 銃!?
なんの迷いもなく、俺は長身の木製ライフルを渡されたのだ。
先端には本物の銃剣まで付いている。
「これって––––『Kar98K』? いやいやなんで喫茶店にこんな物があんの!? 軍用のスナイパーライフルじゃん! ツッコミどころ満載だわ!」
「言ってなかったかい? 国防軍には知り合いが大勢いてね……あっ、好みじゃないなら“ヘビーマシンガン”とかも貸せるよ」
「全部ここ2年くらいに入ってきた武器だな……、ちなみに魔法杖じゃない理由は?」
「さっき見て思ったんだよ、並の魔法杖では絶対君の魔法に耐えられない。だから次はそれ使ってくれる?」
「りょ、了解です」
ボルトを後退させ、マスターから投げ渡された弾丸を装填する。
再びコッキングレバーを押すと、ジャキンという音と共に初弾が入った。
「おっ、使い方わかるんだ」
「マスター、こいつ根っからのミリヲタなんです。キモいですよねー」
「変に上級魔法でイキってくる魔導士よりずっと良い、では撃ってみてくれ。今度はうまく制御してくれよ」
リアとフロントサイトを合わせ、俺は引き金をひいた。
轟音と同時に、今度はより収束した魔法が弾丸と一緒に発射された。
《エネルギー計測完了、総合評価SSS。判定......『竜王級』》
タブレットからは、またも無機質に同じ声が。
さっきは杖が壊れたけど、見た感じライフルは無傷だった。
魔導士用の特注品なのだろう。
「ホントに竜王級……、こんなヲタクが」
「こんなで悪かったな」
「いやいやご、ごめんってアルス〜。でもその『神の矛』ってギルド––––マジどうなるか気になってきた」
「明日ライブ配信するらしいし、見てみるか」
ボルトを引いて排莢。
空薬莢が草の上に落ちた。
マスターがタブレットを切って、近づいてくる。
「予想以上だ、アルスくん。君なら問題なく推薦できそうだよ––––大陸中のエリートが集う学び舎。【王立魔法学園】の特別編入生に」
店長はニッと笑いながら言った。
ん? これってバイトの面接なんじゃ……?
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