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第40話・学園最強のランキング1位

 

 選挙開始から3週間……学業と激しい票取り合戦が行われる中、ついにその日がきた。


『これよりアルス・イージスフォード(605位)と、ユリア・フォン・ブラウンシュヴァイク・エーベルハルト(1位)の公式戦を開始する!!』


 向かい合う俺とユリアの間、タブレットから遠隔で公式戦担当官が叫んだ。


 場所は絶海の孤島––––『演習都市アルストロメリア』。

 なんとここは島全土が国防省の敷地であり、中央にそびえ立つ巨大な観測塔を軸に街が築かれている。


「軍の大規模演習都市を借りるなんて、ずいぶん大袈裟なことになりましたね––––イージスフォードさん」


 空は曇天。

 降り注ぐ豪雨にうたれながら、ユリアは俺を見据えていた。

 その手には、俺がコミフェス会場でテロリストから奪い返した杖が握られている。


「全くだ、それだけ注目されてるってことかね」


「まぁ逃げずに来れただけでも美徳ですよ。しかし……逆に今が引き返す最後のチャンスです。本当に良いのですね?」


 最後通牒だとばかりに聞いてくる。

 チラリと横を見れば、雲を貫いてそびえる塔。

 あそこからミライを始め、大勢の生徒が見ている。


「お前こそ、服が汚れても文句は受け付けないからな」


 俺は手に持っていたKar98Kのボルトを引いた。

 クリップで一気に5発装填したのは、対人用の非殺傷弾と呼ばれるもの。


 非殺傷とは名ばかりに、ウォーリアー職のパンチくらい威力はある。

 しかし手加減が苦手な俺とは相性抜群だ。


 試合のルールは、首から下げた魔石が砕けるか気を失うか。


 お互いにジッと見据え合う。


「それがあなたの武器ですか、魔導士のくせに杖を使わないなんて……竜王級の名が泣きますよ」


「言ってろ、どっちみち俺に勝てばその名は好きにできるんだ。欲しいなら奪ってみろよ」


「言われなくても––––」


 杖を構えたユリアは、数歩離れた状態で先端をこちらへ向ける。

 緑掛かった碧眼からは、本物の殺意が伝わってきた。


「必ず奪いますよ」


 担当官が試合開始を宣言すると同時、ユリアの全身から魔力が炎のように燃え上がった。

 激しい輝きに思わずまばたきをした瞬間、見計らったように彼女は俺へ肉薄してくる。


「っ!!」


 おっと危ない……!

 間一髪で受け止め、カウンターで銃剣を突き出す。


「はっ!」


 身を引いた彼女は、杖を棒術のように振った。

 見る見るうちに、魔法杖の形状が変化していく。


 ––––ガキィンッ––––!!


 俺は再び銃身で攻撃を受け止めた。

 なんと今度は打撃ではない……”剣撃“だった。

 魔法杖は、フォルムチェンジして2刀短剣へと変わっていたのだ。


 こんな武器は見たことない。


「星凱亜––––『彗星連斬』!!」


 重い衝撃が次々と降り注ぐ、俺の知るどんな剣士をも上回る動きだった。

 さすがは本物の魔人級魔導士、特技は魔法だけじゃないようだ。


 折り重なるような連撃をいなして、俺はなんとか鍔迫り合いに持っていく。


「その杖……! 形が変わるのか、面白い戦い方だっ!」


「これは我が家に代々伝わる”宝具“『インフィニティー・オーダー』。主の思うがままに形状変化し、その特性を変えます!」


 振られた一撃をかわすと、今度は重なった剣先が一気に面積を増した。

 一目でわかる、巨大なハンマーに変わったのだ。


「星凱亜––––『木星巨弾』!!」


 振り下ろされた一撃を飛びのいてかわすと、ハンマーを爆心地に石畳ごと地面が吹き飛んだ。

 噴水のように地盤が持ち上がる。


「スイッチ!!」


 今度は再び魔法杖へ変化。

 魔力が向けられる。


「『上級炸裂魔法(グランド・ブラスト)』!!」


 俺は銃の木製グリップを握り込み、魔力を溢れさせた。


「『身体能力強化(ネフィリム)!』」


 ステータス大幅強化。


 突っ込んできた魔法弾を、銃剣で真っ二つに斬り伏せる。

 視界を覆った爆炎が晴れると、再び武器を2刀短剣モードにしたユリアが攻めてきた。


「ようやく力を出しましたね、様子見なんて舐めた真似を……!」


「舐めてなんかないさ、未知の能力を警戒してただけだ」


 スピードを一気に上げ、彼女の背後に回り込む。


「くっ!!」


 身を翻したユリアは、ギリギリで俺の銃剣を受け止めた。

 だが、力は俺の方が大幅に優っている。


「なんて力……ッ!」


 そのまま弾き飛ばし、体勢を崩したユリアへ銃撃を放った。

 音より速い弾丸を見切ったのか、剣で防御される。

 想定内だ––––俺は地を蹴り、一気に接近して銃床(ストック)を叩きつけた。


「がはっ!」


 鈍い音が響き、足裏でブレーキを掛けたユリアは、腹部を押さえながら苦しそうに膝をつく。


「––––まず一本だな」


 ボルトを引いて排莢、剥き出しの泥に空薬莢が落ちた。

 歯を食いしばりながら、忌々しげに彼女は俺を見上げる。


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