第17話・同級生が有名コスプレイヤーだった件
「コミ、フェス……?」
アリサが小さく呟いた。
最悪だ、最悪だ最悪だ最悪だ!! せっかく選挙活動手伝ってくれる雰囲気だったのに、これじゃ全て台無しに……!
「い、いやねアリサちゃん! 今のは言葉の綾というか、単なる言い間違いというか、あのーそのうっ!」
露骨にうろたえるミライ。
そんな態度取ったら逆効果だろ! 終わりだ、詰んだ、学内裏ネットに晒されて終わる……!!
「アルスくん、ミライさん、もしかしてあなたたち––––」
そこまで言ったアリサは、なんと満面の笑顔で続けた。
「コミフェス参加勢だったの!?」
「「へっ?」」
「実はわたし、こう見えて毎年コスプレイヤーとしてコミフェスに出てるんだよ! 嬉しい、まさか2人もヲタクだったなんて!!」
俺の中で、何かが繋ぎ止められたような感覚になる。
まさか、こいつ。
「えっ、お前もコミフェス行ってるの?」
「さっきからそう言ってるじゃん、『スノーシベリア』って聞いたことない? わたしのコスプレイヤーとしての活動ネームなんだけど」
正面にいたミライが、思い切り前のめりになった。
「嘘っ!? あなたがあのスノーシベリアさん!? ヤバい超ファンなんです! 握手してください!!」
「あっ、うんいいよ? ってか同級生なんだからタメ語でいいって」
俺の隣で、唐突に握手会が始まる。
つまり、あれか––––
「整理すると、アリサはスノーシベリアの名で活動する有名コスプレイヤー、そしてミライはその大ファン……っと?」
「そうそう! アルス知ってる!? この子はきわどい系から清楚系まで何でもハマる最強美少女レイヤーなの! まさかクラスメイトだったなんて!!」
「えへへ、ミライさんに言われると照れるなぁ」
目尻に涙を浮かべて喜ぶミライ。
こいつら、そこまでガチだったのかよ。
いやさすがに想定外すぎる、俺のさっきまでの不安と絶望を返してください。
「っというわけでアルスくん!」
「アルス!」
ミライとアリサは、両サイドから俺の肩をガッシリ掴んで力を込めた。
いや痛い、普通に痛いですし顔が怖いよなに!?
「アルスくんならキャラコス全然イケるよ! 安心して! わたしが一晩で仕上げて見せるから!」
「ばっ! 待てふざけんな!? なんで俺が」
俺の言葉をミライが遮る。
「それいい賛成っ! コスプレしてもらって、それで売り子やってもらお! 生徒会長を目指すならこれくらいこなしてもらわないと!」
「うんうん! 大丈夫アルスくん! 悪いようにはしないから! 今日学校終わったらさっそく衣装合わせやろう! メイクや加工はわたしが全部やるし!」
拒否権なんてものは、那由多の彼方へ消え去ったらしい。
結局俺はヲタク女子2人に拉致され、揉みくちゃにされまくった。
まぁなんかこの雰囲気ハーレムっぽいし、いいや。
コミフェス……楽しみだなぁ。
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