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第10話・徹夜明け? 慣れているので大丈夫です

 

『王立魔法学園』。

 通常とは異なる莫大な国家予算によって運営されており、大陸中のエリートが集まる天才秀才の巣窟。


 文武両道、聡明英知、質実剛健が売りの人間ばかり。

 とりわけ、優秀な人材を求める国防省が影響力を強めている学校である。


「おはよーアリサ〜」


「イェーイ! おっはよー!」


 煉瓦造りの校舎内で、元気な挨拶が交わされる。

 高等部2年A組のアリサ・イリインスキーは、腰まで伸びた銀髪がトレードマークの快活な少女だ。


「アリサは今日も元気だな、アイツ」


「ホントほんと、元気だけなら学校トップなんじゃね?」


「成績は中の下だけどな」


 男子たちの声に、靴箱でくつを履き替えていたアリサは「おうおうおうそこの男子ぃ! 聞こえてるぞ〜?」と歩み寄る。


「わたしのことを、元気だけが取り柄の女と思ったら大間違いだよ」


「元気以外になんかあったか?」


「じゃあ今話してるこの言葉はなーんだ?」


「えーっと、王国共通語……?」


 アリサは「フフン」と鼻を鳴らし、チェック柄のプリーツスカートをなびかせた。


「わたしは母国の社会主義圏言語と、この王国言語、新大陸語までしゃべれるマルチリンガルなのだ! どうだ驚いたか!」


「まぁ……確かにそれは凄いけど」


「ほれ見たか! って、それより今日なんか慌ただしくない? 先生たちもガヤガヤしてるし」


 チラチラ周囲を窺うアリサへ、女子生徒が通り際に教える。


「また予定忘れたの? 今日は大英雄グラン・ポーツマスさんが特別編入生を連れてくる日じゃない。一体どんなヤツか、学内掲示板やメディア部も大騒ぎよ」


「あぁーそうだった!! 試験ってどこでするんだっけ!?」


「隣区画の演習場らしいけど、たった1人の魔導士にそんな広いところ使う必要あるのかしら。どっちみち、ウチら学生は見学できないわよ」


「ぐぬぬぬ〜っ……! そうだ、ねえ男子たち?」


「なっ、なんだよ」


 もう行こうとしてた男子生徒数名を呼び止めたアリサは、可憐な笑顔で両手を合わせる。


「あんたメディア部じゃん、おたくの部長どうせ授業抜け出して隠密撮影する気でしょ? わたしも連れてってくれるよう頼んでよ」


「はぁ!? 誰が部外者のお前なんか」


「さっき陰口たたいたのだーれだ?」


「っ、クッソ……、わかったよ。その代わり部長の足は引っ張んじゃねえぞ」


 拳を握ったアリサは、ウキウキと教室へ進んだ。

 一体どんなヤツが来るんだろう、友達になれたらいいなぁ。


 ◆


 俺はマスターの運転する魔導車に乗せられ、王立魔法学園へ向かっていた。


「いやその……、試験前にこんなこと聞くのもアレなんだけどね」


 ハンドルを握りながら、マスターは助手席の俺をチラリと見た。


「きみ、超寝不足だよね……?」


「はい、もう3日寝てないというか、寝かせてもらえませんでしたので……」


 ミラー越しに映る自分の顔は、クマだらけである。

 ここまでやつれたのは、かなり久しぶりだ。


 全てはミライのせい、恐ろしいほどヤツの原稿描く手が遅かったせいである。

 おかげで作業の半分以上は俺がこなすという、アシスタントのレベルを超えた結果に……。


 だがそれもあって、なんとか原稿は印刷に回せそうではある。


「いける? ってかやってもらわなくちゃあの顧問にどれだけ僕がいびられるかわからないんだけど……」


「試験は午前の内に終わるんですよね?」


「あぁ、午後には帰れるだろう」


「そうですか、なら––––」


 俺は頬をパシンと叩いた。


「問題ありません」


 学園には正門からではなく、隣接する結構広めの演習場っぽい場所に車で入った。

 建物のようなものや、標的の人形、草木生い茂る森やグラウンドみたいなところまで色々ある。


「ふーっ、着いたついた」


 マスターと車を降りると、何人もの教師らしい人が並んでいた。

 老若男女、様々である。


 その内の1人が、俺へ握手を求める。


「初めまして、君がアルス・イージスフォードくんだね」


「初めまして、貴方は?」


「学園長のレオードです。早速、君の実力を見せてもらいたい」


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