現代に生きる若者たち
それはとある新型ウイルスが流行った年に起こった出来事である。
その日、彼はスマートフォンゲームに夢中になっていた。
新型ウイルスの影響で外出自粛が促されていたからだ。
しかし彼自身、インドア派なのでそれほど苦痛ではない。
「マジで勝てね〜」と彼はつぶやく。
このゲームはオンライン対戦でランクを競うものになっており、
最近では世界大会が開かれるほどの大盛況なのである。
彼自身、大会に出られるほどの実力はないものの、このゲームが大好きなのである。
すると一本の電話がかかってくる。出てみるとゲーム内で知り合ったMiyoさんだ。
「いまひま?」
「この時期に暇じゃないやつは余程のブラックなのかな」
と冗談混じりに会話を始める。
彼女とはSNSで知り合い、よくゲームをする仲でもある。
そして、もちろんネット上の関係なので本名や顔、年齢などは知ったことではない、と彼は思っている。
そもそも女性に年齢を聞くのは野暮というものである。
「ところで公式のSNSみた?」と彼女が聞いてくる。
「いや、まだ」と正直な感想を伝える。
「なんかまた変な調整が来るんだってさぁ〜」
「まぁいいじゃないか、ゲームなんだし。」
そもそも我々利用者は遊ばせてもらっている立場なのだ。
ユーザーの意見はもちろん大切だが、それ以上に製作者や運営には敬意を持たなければならない。
10分ほど喋ったところでMiyoさんとの通話を終了した。