37.グリフォンはどんだけ見てもグリフォンだ。グリフォンなんだ。
「勇者共の始まりの地に一番近い拠点が潰された?・・・ふむ・・・。なら、私が見に行こう。」
そう言ったのは長い銀髪をポニーテールにしたかっこいい系の顔つきの赤目の美女だ。そこは魔族の前線基地で、ユトラリィからはそこそこ離れているが彼女にはすばやく移動できる手段があった。
「危険です!最後の通信ではあの『狂乱の剛猿』翔子が一人で突撃してきたという報告があります!お止め下さい、隊長!」
「だが、あの拠点には私の配下である『グリフォンライダー』がいたんだ。弔いと調査をせねばならん。」
そうして飛び出した彼女だがユトラリィの上空を通った時、雲の上を飛行していたにもかかわらず乗っていたグリフォン共々魔力の塊に撃墜され、ユトラリィの結界上部に落下した。結界からの雷撃を受けながら彼女は考える。
(これは魔物の侵入を防ぐものか。私は魔族だが魔物ではないから強引に抜けられるがグリフォンは無理だな。このままここに居たら共倒れか。・・・仕方ない、か。)
「ごめん。」
そういった彼女はグリフォンの首筋を優しく一撫でした後、背中から飛び降りた。建物の屋根に風魔法を使いながら静かに下りた彼女はそのままユトラリィの街中に姿を晦ました。
「捕まえたグリフォンがこいつか。・・・すごいな。ほんとにグリフォンだ。」
そう呟いた俺は目の前のグリフォンを見る。なんというか・・・本当にグリフォンだ。それしか感想が出ないな。やだ、俺の語彙、しょぼすぎ?はともかくとしてこいつの扱いや出所を上層部が話し合っている。俺とマリアはほったらかしには出来ないからと同行している。
どうにか懐柔できればいいのだが難しいというのが総意のようだ。それを少し離れた位置で見ている俺とマリア。グリフォンは鉄製の拘束具で厳重に拘束されているが、その目は敵意に塗れギラギラと憎悪の意志が燃えている、ような気がする。仕方ないから殺すかという意見で固まりそうになった時、突然マリアが見知らぬ女性に羽交い絞めにされた。
「全員、この少女を殺されたくなければ動くな!魔法の使用もなしだ!そのグリフォンの拘束を解いて私達をこのまま逃がすなら何もせずに立ち去ろう!さぁ、早くしろ!」
そこには黒かった髪が銀色になっていくかっこいい系の顔立ちの女性が、ナイフをマリアの首筋に突きつけた状態で叫ぶように要求を伝えていた。驚いたのは翔子さん、マークさん、ウオタクさんの3人だ。
「「「魔王軍空軍総司令、ゲルダ・フィールメント!なぜここにいる!」」」
事態が急展開すぎてついていけないが、一つ分かることがある。とらわれた姫君をどうにかして助けないといけないという事だ。




