33.あ、あなたは・・・!!
マークさんが扉の中に入っていったので、俺たちも続けて中へと入る。そこに居たのは30代位の普通のおばさんだったんだが、俺とマリアは見た途端に驚きを隠せなくなった。
艶のある黒髪ロングでかっこいい系の顔付きをしている。頭にはフリルのあしらわれたカチューシャが、座っているから見えないが、見える範囲で言うならば翔子さんは何故か・・・メイド服を着ていた。しかもその顔には見覚えがある。視線を後ろに向ける。
「デュフフ。今日も翔子タンは輝いてるお。」
恍惚としながら言っている彼のTシャツにプリントされている彼女に、翔子さんはとても良く似ていた。てか翔子“タン”って年齢を考え・・・なにこの寒気!!
「初対面の女性をみて何を思ったのかな?少年。」
笑ってるけど目が笑ってないよこの人!てかなんで分かるの!?読心とかいうスキルでもあんの!?あと横からのジト目がキツイ。お前も思ったくせにマリア。
「私はそんなこと思ってないわよ!」
「俺が今何考えたかわかってないだろ!?」
「どうせ“マリアも考えたくせに”とか思ったんでしょ!?」
「そ、そんな事考えてませんしー?」
そんな僕らのやりとりを見ていた翔子さんが軽く咳ばらいをして空気を変えようとしているが、メイド服だとあんまり威厳が出ないな。
「威厳が無くて悪かったね。そこの馬鹿含めたそれなりの勇者が“翔子タンがメイド服を着てくれなきゃ働かないお!!”とかうるさくてな。」
そういってやけに上手いモノマネを披露する翔子さん。その目はとても虚ろできっと何とか回避しようとしたのだろうができなかったんだろう。本心から同情していると翔子さんは話を進めだした。
「とりあえず、始めまして。“勇協会”会長をしている翔子といいます。って言っても私に皆への命令権は何もないわ。勇協会は例えば盗賊の出没情報とか、物資の援助が必要とか、そういう情報を遣り取りして、魔族との戦争に貢献するための組織です。」
そういって俺たちを見る翔子さん。そこには組織の長としての威厳がある。メイド服だけどな!これでスーツとか軍服とかだったら更に威厳があったんだが。
「あなたたち・・・ツバサ君にマリアちゃん。あなたたちはどうしたい?魔族との戦争に参加するか、戦う人達の支援をするか。残念だけど、人手が足りなくてね。どっちにしてもしっかり働いてもらうからそのつもりでね?あ、でもツバサ君にはできれば前線で戦ってほしいわね。」
そういってこっちを見る翔子さんの顔は完全に獲物を狙う肉食獣の目をしていた。助けて!お巡りさん、あの人がこっちをネットリした目で見るんです!




