31.検問をフリーパスって悪いことしてる気がするよね
スラァはお腹いっぱいなんだよっていう苦しい言い訳で何とかUターンを阻止した俺たちは遠くに見えた壁に着実に近づいていた。ただ、俺に聞いた時は懐疑的だったのに、スラァがプルプル震えただけで信じるのはなんか納得いかないんだが。
そうして気づけば門の前、全身を金属製の鎧で覆い2~3M程の槍を持った男の人が2人、真っ黒なローブに身を包んだ男の人がこれも2人、一際立派な鎧を着こんだ人が1人、検問を行っていた。マークさんはズンズン近づき、立派な鎧の人に話しかけた。
「お役目、ご苦労様。通ってもいいかい?」
「んん?おお!マークさんにウオタクさんじゃないですか!そして見知らぬ少年少女が二人にスライムが1匹?・・・という事は何かあったんですね?」
「ああ。詳しくは後で翔子さんに言っておくから聞いておいてくれ。あとこの後大規模な部隊も出ていくと思う。」
「分かりました!!ただ・・・。」
「君の言いたいことは分かるが、今は見逃してくれないか?責任は私がとるから。」
「そんな事できませんよ!私の責任で、今回はお通しします。」
「ありがとう。じゃあ借り一つにしとくよ。・・・じゃあ入ろうか、3人共」
何があったのかは分からないけど、マークさんは信頼されてるんだな。そんなことを思いながら俺は門を通り過ぎて街の中に入っていった。
4人が雑踏に消えて少しして、槍もちのうちの一人が立派な鎧を着た男に問いを発した。まあ、ツバサにはこの会話も筒抜けなのだが。
「隊長!!ほんとに大丈夫なんですか?女の子はともかく、男の子の方は何というか・・・こう・・・ヤバイって感じでしたけど。」
「俺も同じように思ったが俺の『悪意感知』、『嘘発見』の効果は知っているだろ?脅されていても嘘発見には引っかかるが何もなかったからな。大丈夫だろ。って魔法使いの2人はどうしたんだ?」
そこには真っ白な顔でガタガタ震える二人の姿があった。いや、門の中にある仮眠室や街の中にある自宅にいた者に宿屋や軍の駐在所のようなところにいた、魔法を専門的に使い、感覚が鋭い者は皆それを感じた。澄み切ってはいるがどこまでも底の見えない魔力が近づいてきているのを。
隊長が原因を知るのはもう少し後の事。因みにお咎めはなしだった。むしろ怒らせることをしなくて良くやったと上司から褒められたのだった。




