3.女神の涙
「ふぇ・・・ぐす・・・宮廻様、この度は・・・申し訳ございませんでした。」
ギリギリのところで泣くのはこらえた女神クオリアの第一声がこれだ。美少女に謝られた上に頭を下げられると自分が悪いわけでもないのに居心地が悪くなるのはなぜだろうか?
「いや、人違いならしょうがない・・・すよね?うん。・・・頭を上げてください。クオリアさんにフィールさん。俺を地球に送り返すのはできますか?」
ラノベではなんだかんだ理由をつけて送還できないが、俺はまだここに来ただけだし今なら地球に帰れるかもって思ったのだが、送り返すの時点で分かりやすくビクッてしたぞ女神様。
「いえ・・・その・・・お返ししたいのはやまやまなのですが・・・ここに来ていただいた時点でそのぉ・・・ね?」
「そんなかわいらしく濁されても・・・。無理・・・なんですね?」
またビクッてした。そして大きく澄んだ碧眼をさらに涙で一杯にし、堪えきれず決壊した涙が彼女の頬を流れ落ちていった。
「ごめ・・・なさ・・・。わたし・・グス・あなたを・・・ごめんなさ・・・。ごめんなさい。」
フィールさんはクオリアさんの肩に手を当てているがそれ以上何か行動に移すことはなかった。代わりに困った顔をこちらに向けて深く、深く頭を下げた。超気まずい。ここで横柄な態度を取れるような性格ではないのが俺だ。一般人なら大体こうなると思うが。
「頭を上げてくださいフィールさん。クオリアさんも、俺は怒ってないからそんなに謝らなくても大丈夫ですよ。てか、クオリアさんがミスってくれたから俺は異世界転移に巻き込まれたんでしょ?感謝こそすれ怒ったり恨んだりなんてしませんよ。」
できるだけ笑顔を心掛けたけど、たぶんこれ苦笑になったかも・・・失敗したなぁ。
「ヒクッ・・・ぅぅ・・・ごめんなさい・・・。」
「こういうときはもうしっかり泣き切ったほうがいいですよ。俺は待ってますから。」
「うぅ・・・うあぁぁーーーん・・・フィールゥーー・・・・・・」
「姫。今は宮廻様のご厚意に甘えましょう。背中をさすって差し上げますから。」
フィールさんに抱き着いて大泣きしている女神さまは、なんというか・・・俺と同年代の女の子にしか見えず、目の前で大泣きされて落ち着かなかった。
てかフィールさん、凛々しい声でクオリアさんを姫っていうんだな。イメージ通りだけど。