夏が生まれる
夏が生まれる
遠くの森からカッコーが朝を目覚めさせる
まっすぐに並んだ稲の列が柔らかにうねっている
朝露に濡れた道端に佇む青いツユクサ
トゲトゲがまだ指先を刺すほどに新鮮なきゅうり
イガイガのついたへたの帽子につややかな黒紫の茄子
歯を揃えて太陽の光のようにキラキラととうもろこしの実
桃の皮をつるりと剥いて
少しピンクがかったクリーム色に近い白の果肉に
真っ白な歯を当てる
夏は香りから始まる
夏は香りから生まれる
健康優良児のように
夏は生まれる
オレンジ色の夕日が裏の畑をメラメラと燃やす
むっとする熱い空気が木陰で休んでいる
黄昏が密かに近づき あちらこちらに蛍が灯る
夏は生まれた
午前0時、瑠璃色の空に流れる天の川
白鳥座がその上を翔ける