顔から体内へ?
前回の続き。
若い刑事はまた医官に電話した。
「たびたびすみません。カミソリでひげを剃ると、その部分に小さな傷はつきますか?」
「つきます。そういう傷がいくつかは。そのままで特に問題はありません。
私もカミソリで剃っていますが、ごく小さな傷は毎度のことです」
「その傷から、液体の毒物が吸収されることはありえますか?」
「まったく考えられないことではありません。
大統領は毒殺されたと推定されているのですか?」
「まったくないとは断言できません。官邸や国会で毒を盛られる可能性はゼロです。いろいろ調べましたが」
「消去法で残るのが、追悼式典で頭の上を飛んだスズメですか?」
「それもすべて排除はできません。ただ、かんじんの毒物が何かが解明されていません」
「既存の毒物から合成することは、できないわけではありません。
第一級というか、世界で最先端のレベルを持つ専門家と、
化学物質を合成できる設備が必要です。
わが国以外の話ですね」
「わかりました。感謝します」
その頃、ある国の生物化学兵器研究機関では・・