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二話 今度は集団召喚ですか

今回は特にネタバレ注意!!!


 光り輝く魔法陣に包まれると、次に目に映ったのは見たこともない広場だった。いや、ツカサにとってデジャブを感じる広場だ。


「な!!どこだここ!!」

「俺たち死んだのか?」

「異世界召喚キター」


 一緒に転移してきた人たちが突然出来事に驚いている。若干喜んでいる者もいるがごく少数だ。


「ようこそおいで下さいました、お使い様一行。突然の事で驚いておるかも知れませんが、先ずはこちらについてきてください。そこで詳しい説明を致します」


 召喚された広場には、やはりと言っていいくらいの予想通りに召喚者らしき者達がいた。その中で一番偉いのであろう老人が召喚された者たちを別の部屋へと案内してくれる。

 いきなり怪しい人に『お使い様』と呼ばれたクラスメイトと他の乗客乗務員は「ついて行ってもいいのか?」と考える。が、こういった時の纏め役、高崎優斗は不安がる人を安心させる様に言った。


「皆、不安な気持ちなのは分かる。だけど、ここで立ち止まっていたら何も分からないし変わらない。取りあえず、この人について行って見よう」

「まぁ、優斗が言うなら間違いねぇな」

「そうね、取りあえずこの人について行ってみようか」


 優斗の言葉に勇気を貰った一行は自分たちを救世主様と言う老人について行く事にした。

 大人達も優斗のカリスマ性に惹かれ、老人の後を追う学生の後ろについて行く。


「君、行かないと遅れちゃうよ?」

「…行かないとダメですかねぇ?」

「え?何か言った?」

「いいえ?行きますよ」


 全員が行動を開始しているのに、ツカサだけ目をボーっととさせ心あらずと言った雰囲気だった。

 見かねた飛行機のCAさんがお姉さんぶって注意すると、ツカサは愚痴っぽく独り言を呟いた後、集団の最後について行く。


 ツカサは歩きながら状況を整理する。

 あの状況から魔法陣、そして高貴な建物の中に転移、からの百歳は超えていると思わしき人物からの『救世主様』呼ばわり。

 ツカサはこの状況は完全に小説などによくあるジャンル『異世界召喚』だと理解できた。

 召喚された集団の中でも異世界召喚をよく知り、この状況を理解して興奮している者もいるだろう。ツカサも昔はそうだった。

 昔のツカサなら大いに歓喜して内心興奮状態で他の者と大層変わりなかったであろう。が、ツカサは冷静だ。


 なぜなら、


 今更異世界召喚とかないわー。

 てか、視界に見覚えのある機能が現れたら無視もできないよな。

 異世界に二回も召喚される俺の運命ってどんだけハードモードなんですかね!


 ツカサはこれが二回目の異世界だった。だからこんな状況にも慣れている。

 慣れているどころか飽き飽きして「今回のミッションってなんだよ。勇者は高崎優斗で良いだろう?俺いらなくない?」と個別に召喚してのでなく、集団召喚させた神に愚痴っていた。

 最も、今回は集団召喚のお陰で墜落死を免れたわけだが、ツカサはどうしても愚痴らずにはいられない。




 長い廊下を幾つも曲がり、集団でも「早くつけよな」と不満が溜まってきた頃、先頭を歩いていた老人はようやく一つの部屋に入った。

 案内された部屋は会議室の様に長机と大量の椅子。全員が椅子に座ると、メイドさんがどこからともなく現れ、目の前に飲み物を置いてさがっていく。


「メイドさんだぜ!!」

「夜伽とかあるのか!!?」

「ヤバい、同じ女から見てもめっちゃレベル高いんだけど!!」


 本物のメイドさん登場に場の空気は一転。重たかった空気が軽くなった。

 ツカサはメイドさん?そんなことより早く説明を開始しろ!とばかりにイライラが増す。


 メイドさんの登場で空気が軽くなった所で始まった説明は、集団召喚系のよくあるものだった。


 数百年前に星を巻き込む様な戦争があったそうだ。現在には当時の記録は殆ど残っておらず、伝説や伝承と言ったおぼろげとしか残っていないが確かに戦争は起こっており、その際に世界が書き換えられたそうだ。

 その戦争中に何が起こったのかは分からない、が人族は生き残った。生き残った人々は文明の再建築をし今に至る。

 しかし近年、戦争時代に封印されたはずの魔王が復活したと見られる予兆が出てきた。調べて見たところ、魔物の活動が活発になり、魔族も暗躍していることが分かり、魔王復活は間違いないと判断される。

 人界の人々も戦える者もいるが、戦争中に活躍した者には大きく劣り、どうにか対策を練っていた時に神殿の巫女が神からのお告げを聴き、禁術指定されていた召喚魔術を試みたところ、ツカサ等一行が召喚されたというわけだ。


「戦うって言われてもどうすんだよ。俺達何の力を持ってねえぞ」

「空手やってるから多少戦えるんじゃね?」

「え!?私達女子はそんなの無理よ!!」

「異世界なんだから、こうスゲー能力に目覚めていたりしない?」


 魔族と言う明らかに敵っぽい種族と戦わさせられると言われた一行の反応はざまざまだ。

 ツカサが通っている男子高校の奴らは好戦的であり、運動部に所属している者が多く楽観的な雰囲気。一方で他の高校生や乗務員と僅かな大人たちは戦える訳がない、と絶望的な怒りや焦り、または喪失感を抱いている。昔のツカサの様に「異世界で目覚める我が力が……」と厨二を患っているのはごく数名だ。


 ざわつく一行を治めたのはお馴染みの高崎優斗とツカサとは別高校の女子生徒だ。


「皆、取りあえず落ち着こうか。話は最後まで聞くべきだ」

「そうね。こちらが落ち着かないと、話は進まないもの」


 高校別のリーダー角に静められ、一行は静まり返る。成り行きだが、リーダーは決まりつつあるみたいだ。

 こちらが静まった所で教会のお偉いさんは話の続きを再開した。今話題に上がった力についてだ。


「先ずは『インデックスオープン』と言ってみて下され」


 説明をしてくれる教会のお偉いさんの指示に従い、一同は「インデックスオープン」と一斉に言葉を言う。すると、次に聞こえてくるのは「うぉぉ!!」とか「えええぇぇ?」とかいう驚きの声。

 一先ず罠でない事を確認できたツカサも「インデックスオープン」と唱えてみる。すると、目の前にホログラフィックの様な感じで一覧が現れた。



 エキハ ツカサ Level5,454  種族、人族…***


  適正職業「魔法使い」ランク大賢者


   体力 850,000

   魔力 135,746,454

   物攻 5,463

   物防 5,674

   魔攻 541,646,316

   魔防 545,241,646

   俊敏 6,461

   幸運 4,971


  装備 パーカー、ジーンズ


  スキル

   『言語理解』『マップ』『アイテムボックス』『ステータス看破』『ステータス偽造』『魔力操作』『創作魔法EX』『全属性魔法適正』『上級火属性魔法』『上級水属性魔法』『上級風属性魔法』『上級土属性魔法』『上級雷属性魔法』『上級聖属性魔法』『上級闇属性魔法』『上級回復魔法』『上級防御魔法』『感知魔法』『転移魔法』『無詠唱』『中級剣術』『上限突破』『思考速度上昇』………………


  特殊スキル

   『強くてニューゲーム』『二度目の異世界』『魔王討伐者』『魔神討伐者』『**を持つ者』


  ランキング

   ・人族第二位 ・**族第九位 ・全界第十位



 明らかにこの場には相応しくないステータスが並ぶツカサのステータス。一度目の異世界で育てたステータスがこの世界ではそのまま使えるらしい。

 このステータスを見られたら大変なことになると簡単に予測できるので、ツカサは取りあえずステータス偽造を使って殆どのステータスを隠す。


 所々見えない文字は何なんだ?俺に知られては不味い部分なのか。物凄い嫌な予感しかしない。

 それに、ランキングってなんなんだよ。この世界の神が決めてんのか?


 ツカサ自身も分からないスキルやランキング。ランキングだけ見れば、全界――恐らくこの星全て――で十番目に強いと出ている強さを持っているので、ツカサが速攻で魔王とやらを倒せば今回の召喚は一気に解決する。魔王がツカサよりもランキングが下位ならば。

 しかし、ツカサは目立つ事が嫌いだ。前回の魔王討伐も迫らせて行ったことだし、何よりも問題をすべて押し付けられる仲間が存在していた。

 さらに懸念はまだある。今回は神に会っていない。協会の偉い人、恐らく教皇が言うなら巫女がご神託を受けて召喚の儀式を行ったらしいが、こういう系統の話は一方通行であり、帰る事がほとんどできないのがテンプレだ。

 なので、ツカサはとりあえず適当にここから抜け出して、帰還の方法を自力で見つけ出す事を最終目標に決める。


 と、ツカサが今後の予定を考えている間も、周りは進んでいく。まず、高崎優斗の適正職業が勇者であることが判明する。それに続いて他の人たちもこの世界の人からすれば強いステータスであることが判明。聞こてくステータスを自分のと比較するものの、ツカサの方が圧倒的に高い。


 周りの人がお互いにステータスについて語っているが、ツカサだけ一人黙り込んでいるのを見かねたCAのお姉さんがツカサに声をかけてくれる。


「ねぇ、どうだった?」

「当たり障りのないステータスですよ」


 そう反応して会話を叩き切る。彼女のお陰で幾らか会話を学んだツカサだが、それはあくまである程度交流を深めている人限定だ。

 しかし、その反応がCAさんからしてみると不合格だったらしく、会話を切れなかった。


「君、この状況で不可侵条約をやっていると、直ぐに仲間はずれになちゃうよ。右も左も分からない状況なんだしさ」

「大丈夫です。初めてじゃないですし……」

「それって……」


 しまった!と思った時にはもう遅い。CAさんには聞こえていた。CAさんが迫って言葉の意味を質問しようとしてくる。

 が、幸運が働き、教皇が話を再開していく。人が話している間はこそこそと話が出来ないタイプなのか、それとも話をキチンと聞かないと分からない状況だからか、ツカサは追撃を受けずに済んだ。


 この後の話は簡単だ。これでこの世界の人よりも戦えるということを証明した教皇は、魔王討伐を引き受ける決意を求めてきた。

 もし断ると、この先どうなるか分からない状況であり、従っておくのが賢明な判断だと一同合点一致し。リーダーシップがある高崎優斗が「救える力があるのに救わないのはダメだ」とこれまた、勇者に相応しい正義感を振りかざして決まった。


 教皇はその返事に満足そうに頷くと、今日はお開きとなる。戦いに関する訓練は明日以降行うそうだ。

 話し合いが終わると、メイドに連れられて部屋に案内される。世界でも有数な建物らしく、一人一部屋あてがわれるらしい。


「こちらでございます」


 ツカサも例外なく部屋に案内される。と言っても、部屋は大体まとまっていてお隣さんは一同の中の誰かだ。

 ツカサは他の人が仲間どうしで選び終えるのを待つと、最後のに残った部屋のドアを開けた。


「は、初めまして。お使いさま」

「すみません部屋間違えました」


 ドアを開けるとメイドが居た。すぐさまドアを閉じて回れ右。先ほど案内してくれたメイドに別の部屋を貰おうとして……。


「お、お願いします!!お戻りになられて下さい!間違っていませんから!!」

「は、離してください!!」


 メイドに泣きつかれた。訳ありならしい。

 ツカサはため息をつくと、メイドに落ち着いてもらって部屋の中に入った。


 部屋はそれ程広くはないが、元の世界のツカサの部屋よりは何倍も広い。ベットに一人用のソファーと三人がけの大きいソファー。脇に飾ってある棚には食器類がある。

 メイドはツカサをソファーに座らせ、自分は飲み物の準備をしてツカサに差し出した。


 ツカサは早速、この世界のシステムを使ってみることにした。

 スキル一覧の『感知魔法』に属する『毒感知』

 こう言った系統は想像だけではどうにもならないので、一から詠唱を覚えたのだが、この世界では『無詠唱』と組み合わせてスキルを使うと思っただけで発動可能ならしい。

 出された飲み物はパーッと光ると、何も起こらなかった。結果は感知されず。取り敢えず、飲ませて協会の操り人形化と言った系統の物語ではないことが分かった。


「凄い……。今のは毒感知の魔法ですよね?まだ召喚されたばかりなのに無詠唱で行えるなんて……!!」

「誰にも話さないでくださいね。それで、話とは?」


 ツカサが使った魔法に感激の表情を浮かべるメイド。薄緑色の髪の毛をツインテールにしていてそれなりに綺麗な女性だ。

 これがツカサのクラスメイトならごぞって興奮するのだが、ツカサには効果がない。彼女に知られたらバッドエンドまっしぐらだから。


 ツインテールメイドはツカサに促されて話を始める。殆どが業務連絡のようだ。

 一つ、今回召喚されたお使い様には一人一人に専用のメイドが付属される。

 二つ、協会内は自由行動だが、お使いとしての責務を果たす為の訓練はしてもらいたい。

 三つ、メイドに何をしてもいいが、殺人だけはだめ。チェンジはあり。


 お使い様とは俺たちのこと。今回召喚された集団は神に使われた者たちだと国中で広まっているらしい。如何にも召喚物のテンプレネタだ。とツカサは内心でため息を零す。

 まぁ生活に支障をきたさないなら、とツカサはメイドの拒否を取り下げると、早速メイドに命令を下してみる。


「あ、あの。私ハジメテなので………」

「変な想像はしないでください。とりあえず、図書館ってありますか?」


ステータスの数値は変動するかもしれません。

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