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溢れ出す随液  作者: 耕助
第1巻
8/103

狂人とピストル(前編)

男の目の前にはリボルバー式の拳銃が用意されている。向かい側にもうひとりの男。2人はじっとにらみ合い、黙り込んでいる。


「・・・・ゲームを始めよう」


拳銃の側の男が口を開いた。向かいの男はバッグから大量の札束を出す。


「本当にこんなことでいいのか?」


向かいの男は、確かめるように言った。


「構わんさ。どうせあと1年の命らしいからな。」


拳銃の前の男は、弾丸を確かめると、自分のこめかみに当てた。


「・・・たった一回、こめかみに向けて引き金を引く。六発のうち、弾は五発。見事生きていればこの金は君のものだ。」


向かいの男が無表情で言った。


「あんたも暇人だねえ。・・・おっと、肝心なことを忘れてた。」


ポケットから何やら封筒を出すと、拳銃をこめかみに当てながら目の前に置いた。


「これがなきゃあんたが疑われちまうからな。いくら金持ちでも面倒はゴメンだろ?」


それを聞いた向かいの男は、首をすくめて言った。


「暇つぶしにはなるかもしれんがね。おもしろくはないだろうな。」


「ははは。アンタ本当におもしろいな。・・・あんまり引き伸ばすのもなんだし、そろそろ始めようか。」


電球がひとつ、机がひとつ。椅子がふたつに男がふたり。そんな暗くせまい部屋で、向かいの男を見据えると、男は何のためらいもなく引き金を引いた。

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