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溢れ出す随液  作者: 耕助
第7巻
65/103

始まりの終わり

「もう忘れ物はないよね、お母さん。」


「・・・・ん。」


無口な母がうなづくと、私は手荷物を入れたバッグを肩にかけた。


父と母が離婚し、私は父よりも母を選んだ。

父とは会おうと思えば会えるし、もし新しいパートナーが出来ても

邪魔になるだけだろうから・・・。母に新しいパートナーが出来たら、私は離れようと思う。

無口な母の方が私を必要としている気がしたのだ。


父と母は決して仲が悪いわけではなかったが、

私から見てもどこか2人はよそよそしい感じがあった。

見合い結婚だからだろうか?私にはうかがい知ることも出来ないけど。

娘の私から見てもそう感じるのだから、当人同士はもっと実感していただろう。


離婚した理由を知りたいとも思わなかったし、両親共に事実を私に告げただけだった。

玄関の鍵を閉めると、母は複雑そうな顔をしていた。思い出しているのだろう、

ここで過ごした日々を。


「・・・ごめんね。」


母が複雑な愛想笑いで私に謝った。


「もう私だって子供じゃないんだし、別に謝る必要はないよ。

お父さんもお母さんも私にとっては親だから、2人の出した結論を受け入れるよ。

お父さんともこれから先会うつもりでいるしね。」


母は、すまなそうな顔でうなづいた。


私が今まで人を好きになったことがないのも、

この2人の背中を見てきたからかもしれないな。

だからと言ってそれが悪いこととは思わないし、

無理して好きな人を作ろうとも思わないけど。


「じゃ、行こうか。」


無言で母がうなづくのを確認して、からっぽになった部屋を後にした。

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