大地震(後編)
あれから二ヶ月が過ぎた。
行けども行けども壊滅状態の町並みしか目に入らず、
今現在いるのが関東なのだが、関西から来たという人間から
聞いた情報も総合すると、どうやら日本全体がこんなことに
なっているようだ。しかし幸い、歩いて家族の無事を確認することが
出来たので、とりあえず一安心だ。
通信関係や報道関係の建物も全て壊滅状態にあるらしく、
携帯電話も公衆電話も繋がらない。どうやら皆自分のところの
生活復旧が最優先というのが統一された考えらしく、
きっと政府もうまく機能していないのだろう。
まさか自分がこんな体験をするとは思ってもいなかった。
しかし、心のどこかでいつかこんなことがあるだろうと
皆気をつけていたせいか、意外と死者は少ないようだ。
そこは大きな救いであったらしく、たくましく復興に向けて皆動いている。
「・・・・。」
ふと、イヤな予感がした。
日本だけか?
もしかして、世界がこんなことになっているのではあるまいな・・・。
しかし、TVやラジオも機能していない今、確かめることは不可能だ。
地球全体がそうなるというのは考えにくいことだが。
待つしかないか・・・。もしかしたら、アメリカあたりが支援に来るかもしれないし。
向こうも同じことになってたら、どうしようもないけれど。
「とりあえず家を造らなきゃな。」
慣れない手つきで、壊滅した廃墟から拝借してきた材料で、
自分の仮家を建てることが最優先だった。